第17話 ユウキの布団

文字数 777文字

 お風呂から出た後、憲斗やお母さんたちとワイワイ言いながらお酒飲んだりおつまみ食べたりした。暫くして茜さんも加わってみんなで盛り上がっていた矢先、ちょっと席を外して隣の部屋にいたお母さんの何やら怪訝そうな声が聞こえてきた。

「あれっ?さっきここに敷いといた布団が無くなってるんやけど、茜、どないしたん?」

すると茜さん何か意味ありげに、えへっ!って舌を出した。

「茜、あんたか!せっかくユウキちゃんの布団敷いといたげたのに、どこやったん?」

戻ってきたお母さんの問いに、茜さんはおどけた顔で人差し指を天井に向けた。

「ええっ!」

今度は憲斗まで声を張り上げた。と同時に、お母さんと二人すっ飛んで二階へ駆け上がっていった。

「うわあっ!ほんまや!姉貴、自分の部屋に布団敷いとるやん!」

「ちょっと茜、あんた、何考えとるん?」

「もう…、いちいち騒々しいわねぇ…」

茜さんは余裕の笑顔を浮かべながら悠々と二階へ上がっていった。
 で、なんか楽しそうなんで茜さんの後をついていった。

 部屋には、茜さんのベッドの隣に布団が一式綺麗に敷かれていた。
 さっき、茜さん、ああ忙しい、忙しい…とか言って、階段上ったり降りたりしてたの、これだったんだね…
 笑える…

「下にユウキちゃん一人やと危ない…と思ってさ」

「何が危ないねん?」

「だってさぁ…
 深夜みんなが寝静まった頃にね…、憲斗の部屋の扉がそおっと開いて、抜き足…差し足…そろぅり…そろぅり…降りていく階段の軋む音が聞こえたてくんの。
 そんでしばらくしたら、今度は下の部屋の扉が音も無くスウッと開いて…、可愛い寝息をたててスヤスヤ眠っているユウキちゃんの布団を、憲斗が…
 ガバアッ!と…」

「するかぁ!!!」

 アハハハハ!
 茜さん、そんなことしないの分かってて言ってるよね…
 おまけに…

「あんたが一番危ないやろ!」

ってお母さんに叱られてるし。
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