決着
文字数 874文字
耳と尻尾を逆立てながら、マモンが審判へと近づく。
そして、蒼太の方を指しながら
返す言葉もなく、蒼太はマモンの抗議に耳を傾ける。
審判の青年は困り顔をしながら
アリーナでの試合は、降参を先に宣言した者が負けとなる。
友好試合ではあるが、騎士たちは血の気が多い。
そのため多少、やりすぎてしまう場合がある。
そこで、相手が降参と口にした際には、その時点で勝敗が決まる、とルールブックに付け加えられた。
動揺をしながら、マモンが後退。
再び石畳の出っ張りに足を引っかけ、倒れそうになったのを蒼太が支えた。
何やら恥ずかしそうな呻き声が聞こえる。
不思議に思い、蒼太は自分の右腕の位置を確認。
彼女の胸を、思いっきり掴んでいた。
脳内の処理が追い付かず、蒼太は目を泳がせる。
そのまま、蒼太の目の前はブラックアウト。
その様子を見ていたマリーは肩を震わせながら
小さな笑い声を漏らした。
しかし、その声は次第に大きくなっていく。
その声は、周りの騎士の耳にも届いていた。
リオネルは、医療班に運ばれている蒼太に視線を向け
アリーナでの友好試合が終わり、今回は予想外のイレギュラーもあったがエリオン側の勝利で幕を閉じることになった。