エリオン・サーガの世界
文字数 1,128文字
太陽のように眩い金色の髪を揺らし、マリーはテーブルの上に置かれた奇妙な装置を見下ろした。
透明なケースの中には、丸い球体のようなものが複数納められている。
そして、中央には回転式のレバー。
2018/01/24 09:51
「問題ありません。その名も異世界ガチャです」
2018/01/24 09:51
ツインテールの桜色の髪の上に黒い三角帽子を被った少女リオネルは、得意気な表情をして頷いた。
マリーは小首を傾げる。
2018/01/24 09:52
「異世界の方は、ガチャを使って好きなものを取得しています。中には高額の料金を使ってまで、欲しいものを手に入れる方も多いようですよ」
2018/01/24 09:53
リオネルは肩を竦め「ちょっと異常ですよね」と続けた。
2018/01/25 14:43
それだけ、熱中できるものがあるのは逆に羨ましいわ
2018/01/25 14:48
マリーは中央のレバーに手を掛ける。
2018/01/25 14:49
回せばいいのね?
2018/01/25 14:49
そう言って、リオネルを見返す。
リオネルは三角帽子の鍔を弾きながら
2018/01/25 14:50
あのー、姫様。本当にセルディック様を生贄にしてもよろしいのですか?
2018/01/25 14:50
いいのよ。あんな奴は
2018/01/25 14:51
マリーは額を抑え、落胆した表情をする。
2018/01/25 14:52
今日だって、暇だからって朝から釣りに出かけるし
2018/01/25 14:52
そして、深い溜息をつく。
2018/01/25 14:53
はっきり言って、飽きたのよ
2018/01/25 14:53
躊躇いなく異世界ガチャのレバーを回した。
2018/01/25 14:54
心地の良い波の音が響く。
2018/01/25 14:54
蒼太が目を開けると、目が覚めるほどの青天が広がっていた。
2018/01/25 14:59
やばい、バイト!
2018/01/25 14:59
蒼太は慌てて上半身を起こす。
風に吹かれた砂が目に入った。
2018/01/25 15:00
涙目になりながら周囲の状況を確認する。
右手にはスマホが握られ、そして目の前には大海原が広がっていた。
だれかが釣りをしていたのだろうか。
椅子代わりの丸太と、そして釣竿が置かれている。
2018/01/25 15:01
しかも、糸がひいてるし!
2018/01/25 15:02
蒼太は反射的に釣竿を掴む。
釣りは、小学生のキャンプ以来だ。
2018/01/25 15:02
しかし、引き上げる途中で糸は切れ、その反動で蒼太は仰向けに倒れる。
心地よい潮風が頬を撫でると同時、目の前の白いレースのドレスが揺れた。
2018/01/25 15:04
す、スカイブルー
2018/01/25 15:05
青空と同じくらい派手な下着を見て蒼太が言った。
2018/01/25 15:06
そして、蒼太の顔をミュールで踏みつけた。
2018/01/25 15:08
姫様、待ってくださいよぉ
2018/01/25 15:09
リオネル遅いわよ
2018/01/25 15:10
だ、だって、ヒールが砂に嵌って
2018/01/25 15:10
もう、馬鹿な子ね
2018/01/25 15:11
蒼太を踏んでいた少女は、呆れながらも踵を返して助けに向かう。
2018/01/25 15:12
一体、何がどうなって……
2018/01/25 15:14
顔面を抑え、蒼太はゆっくりと起き上がる。
そして金色の髪をなびかせる白いワンピースの少女に視線を向けた。
2018/01/25 15:14
ついさっきまで、スマホの画面にいた少女だ。
その少女と、こうして触れ合うことができている。
2018/01/25 15:15
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