領主としての課題2
文字数 1,862文字
ルシフェルとマモン。
その二人の名前に、蒼太は聞き覚えがあった。
レヴィアタン皇帝には実施がいないため、養子であるルシフェルとマモンの双子が皇位を継承することとなった。
兄のルシフェルを、弟のマモンが補佐している。
リオネルの夢を壊す必要もないだろう、と心の中で呟く。
食堂へ向かう途中、中庭にある白い建物の前でジーンと兵士の姿があった。
さっき会った時は、すっかり忘れていたが沙織がガチャで引いていないため図鑑では画像がなくて空白だった。
エリオン王国の東にある小さな島国サタン出身、教育係ジーン。
そう考えると不憫すぎて、可哀想な奴に見えてくる。
蒼太が哀れみの視線を浮かべているのを見て
リオネルが小声で呟く。
蒼太はリオネルの頭にポンと手を置く。
ギリギリと歯ぎしりをしている蒼太の横で
興味を持ったリオネルが倉庫の方へと向かう。
そこには丁寧に並べられた剣や槍などの武器の他に、明らかに異質な黒い箱が置かれていた。精巧な装飾が施されているが、開けるのを躊躇う威圧感が放たれている。
身を乗り出した蒼太に
慎也が言った「オマケ」が蒼太の頭を過る。
一日一回、有償石で回せるガチャがエリオン・サーガにある。
学生が多くプレイをしているため無課金でも十分に楽しめるアプリだが、やはりソーシャルゲームということもあり課金をすることによって有利に進めることができる。
有償の武器ガチャでピックアップされていたことを蒼太は思い出した。
ジーンとリオネルを押しのけ、蒼太は黒い箱へと触れた。
黒い箱は、待っていたとばかりに蓋を開ける。
そこに納められていたのは、黒い刀身の剣。
禍々しくありながらも、どこか美しい。
柄を持って蒼太が持ち上げる。
その重さによろめきながら、蒼太は構えて見せる。