キャンディ湖のほとりにて

文字数 1,101文字

 それからのキャンディでの日常はひたすらリラックスすることが目的でしたので、実にのんびりしたものでした。植物園に出かけたりハイキングとしゃれこんだり。

  プレディーはキャンディの郊外にある実家に里帰りしていましたが頻繁にやってきましたし、マヒンダ君とスジャータちゃんは学生ですが春休みに入っていましたので、よく一緒に出かけたものです。

 キャンディ湖のほとりに行ってのんびりすごすのもいいもんです。
 タカがギターを弾くとすぐに人が集まってきます。

 そんなタカにスジャータちゃんが熱い視線を送っている。。。。

「タカ。どうやらスジャータちゃん、おまえに恋しちゃってるみたいだぞ。しかしなあ・・・あんまり本気にさせすぎないようにしないとなあ。。。」

「押忍。そうですね」
 と言いつつもタカもまんざらではない様子。

 そりゃそうでしょう。スジャータちゃんは目がくりくりして鼻筋の通った、日本ならアイドルデビュー確実なくらいの美少女です。

 一般的なスリランカの女性のファッションは薄いブルーや白っぽい色のワンピースが主流ですが、スジャータちゃんはタイトなデニムパンツにボーダー柄のTシャツと大変垢抜けております。

 華奢な体形ですが胸などは結構豊かでスタイル抜群。

 こんな女の子に好かれて悪い気がするわけありません。

 タカは基本的に女性には大変親切な男ですから(下心抜きにしても)自然といい雰囲気になっています。
 スジャータちゃんは控えめなスリランカ女性なのであまりしゃべりませんが、そのかわり上目遣いでひたすらタカをみつめます。

 ・・・これはたまらんだろうなあ。。。タカも。


 夕暮れ時のキャンディ湖の周りをみんなで散歩します。

 タカが歩くすぐ後ろをうれしそうに微笑みながら付いて行くスジャータちゃん。

 私はそれをちょっと複雑な思いで(いや、別に妬いているわけじゃなく)見ていました。

 そのとき・・・突然の夕立です。スリランカの夕立はなんのまえぶれもなく、いきなりバケツをひっくり返したようにふりはじめます。

 私たちはあわてて近くの建物の軒下に逃げ込みました。


「いやあ、これはすごい雨だな。ま、こっちの雨はすぐやむとおもうけどね」

「押忍。そうですね」・・・と言うなりタカはポケットからタオルを取り出しそれをスジャータちゃんに差し出します。

 ・・・ちょっと待て。そりゃまず師匠に差し出すのがスジってもんじゃないか?

 などと思っていますと、スジャータちゃんはそのタオルで自分の体を拭こうとはせずに、タカの背中を一生懸命拭きはじめています。

 ・・・ケッ!見てらんねえや。。

 ところがこの後、ちょっとした事件がおこりました。
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