カントーク・ディナー
文字数 2,203文字
カントーク・ディナーを食べさせるレストランは、郊外にあるかなり大きなホールのようなところです。
バスを降りてからレストランまで少し歩きますが、その小道の両脇には山岳民族のみやげものの露天が並んでおります。
悲しいくらいに貧相な露天に、お客は誰も見向きもしません。
レストラン内はとても広く、大きなステージがあります。
係員に案内され私たちは席に着きます。
イスなどはなく、カーペットを敷いた床に直接座ります。
タイの土産物屋でよく見かける、三角柱を横にした形の枕のようなものが置かれていて、これを座椅子のように使い座るのです。
「先生、こちらに。ここの方がステージが良く見えますよ」
ジョンが私に席を譲る。私はこの場で一番偉い人になったようです(笑)。
偉い人の横にはやはり美女が座るべきでしょう。
私はジョンが勧めてくれた席にエミリーちゃんを座らせ、その横に座ります。その後にタカ、エミリーの連れ(名前さえ覚えていなかった)、ジョンの彼女とジョン、ビルの順番に座ります。
間もなく料理が運ばれてきます。
カントークとは、竹で編んだ丸いお膳のことで、このお膳にチェンマイの伝統料理があれこれ盛り付けられでおり、この料理とやはり竹で編んだおひつに入ったおこわがセットになってものが、カントークディナーです。
イメージ的には、やはり日本の懐石料理に近いようです。
食事をしながらエミリーにあれこれ話しかけます。
私は正直それほど英語が達者というわけではないので、たいした会話ではありません。エミリーの話では彼女は英国の大学生で、彼女の連れはOLのようです。
ふたりとも20歳で、やはり若い。
私はヨーロッパの女性、それも黒人の女性と親しく会話したのは初めてですが若い娘というのは、世界中どこの国の娘でもたいして違わないんだな・・・と感じました。やはり喋り方や仕草がカワイイ。
特にメガネの似合うエミリーはマジメな優等生なんでしょう。
私がなにか話しかけると、すこし恥ずかしそうにうつむきながら喋ります。
「トミー先生。エミリーはシャイなんですよー。ほらエミリー、もっとしゃんとして!」
連れの娘がからかいます。こっちの娘も見た目はちょっとゴツい感じですが、喋るとやはりかわいらしいです。
ああ、なんかひさしぶりに楽しい夕食だなあ。。。
料理を食べて、見事なタイダンスを見物して楽しい夕食が終わる頃、係員がお客全員を庭にある特設ステージのほうに誘導します。
ステージというよりコロシアムのような円形のミニスタジアム。
「何が始まるんですかね?」これはタカ。
「さあ?なにかまだアトラクションがあるんだろうね」
しばらくすると、山岳民族の衣装を着た小汚い感じの娘が5人現れます。観ていると5人は「カゴメカゴメ」をするように輪になって手をつなぎ、くるくると回り始めます。なんなんだ?これは。。
3分ほどの間、娘たちはただ回り続け、それが終わるとニコリともせずに退場します。観客は何があったのか分からず、ただそれを呆然と見送ります。
「な、なあタカ。今のあれ、何だったの???」
「はあ・・・?もしかして、踊りだったんじゃ?」
そんなことを言ってる間に別の娘たちが4人現れる。
こんどは横一列になって手を繋ぎ、蟹のように横歩きで三歩進み逆方向に三歩歩く・・・これを延々三分間。。。
「師匠・・・オレ、なんか腹立ってきたんですけど」
「うん。たしかにこれ、ちょっとムカつくよね」
さきほどレストラン内で見事なタイダンスを見ているだけに、この芸もクソもない、ただ山岳民族の娘であることだけが売りのようなダンスもどきは、何か嫌なものを感じます。
つづけて輪になってケンケンを3分間見せられるにいたっては、モノを投げたくなってきた。(エミリーちゃんたちも居る手前、逆上するのは抑えましたが・・・)。
こいつらには・・・・観客を楽しませようという意識がかけらほども無く、しかも自分たちも実につまらなそうに、この無意味なダンス(?)を踊っているのだ。。。
せっかくの楽しいディナーを台無しにして余りあるアトラクションが終わり私たちはバスに戻ります。
道の両脇には、山岳民族の土産物屋が・・・こいつら!さっき踊ってた連中じゃないか!!
こいつらは確かに、恵まれない少数民族かもしれない。
これが数少ない現金獲得の手段なんでしょう。
しかし、さきほどのような、ただ同情にすがった甘えのかたまりのようなショウを見せられては、とてもじゃないが同情できない。
・・・おまえらはもっとビジネスの厳しさを知る必要がある。。
その場に居た数十人の客のだれひとりとして、何も買わなかったのは言うまでも有りません。
ホテルに戻り、気分なおしに飲みましょうとジョンが誘いますが、エミリーたちは疲れたということで、部屋に戻ってしましました。残念。
すこしだけジョンたちに付き合って私たちも部屋に戻ります。
「エミリーちゃんたちと、もっと仲良くなりたかったのになあ。。。」
「まあ、また機会もあるでしょう。で、明日の予定は?」
・・・予定といっても、特にスケジュールがあるわけではありませんが、ひとつだけ片付けておきたいことがある。
「バンコクから送った荷物ね、あれを預けた人に会おうと思う。久しぶりに会うんだけど、なかなかたくましくてカッコイイ・・・女性だよ」
バスを降りてからレストランまで少し歩きますが、その小道の両脇には山岳民族のみやげものの露天が並んでおります。
悲しいくらいに貧相な露天に、お客は誰も見向きもしません。
レストラン内はとても広く、大きなステージがあります。
係員に案内され私たちは席に着きます。
イスなどはなく、カーペットを敷いた床に直接座ります。
タイの土産物屋でよく見かける、三角柱を横にした形の枕のようなものが置かれていて、これを座椅子のように使い座るのです。
「先生、こちらに。ここの方がステージが良く見えますよ」
ジョンが私に席を譲る。私はこの場で一番偉い人になったようです(笑)。
偉い人の横にはやはり美女が座るべきでしょう。
私はジョンが勧めてくれた席にエミリーちゃんを座らせ、その横に座ります。その後にタカ、エミリーの連れ(名前さえ覚えていなかった)、ジョンの彼女とジョン、ビルの順番に座ります。
間もなく料理が運ばれてきます。
カントークとは、竹で編んだ丸いお膳のことで、このお膳にチェンマイの伝統料理があれこれ盛り付けられでおり、この料理とやはり竹で編んだおひつに入ったおこわがセットになってものが、カントークディナーです。
イメージ的には、やはり日本の懐石料理に近いようです。
食事をしながらエミリーにあれこれ話しかけます。
私は正直それほど英語が達者というわけではないので、たいした会話ではありません。エミリーの話では彼女は英国の大学生で、彼女の連れはOLのようです。
ふたりとも20歳で、やはり若い。
私はヨーロッパの女性、それも黒人の女性と親しく会話したのは初めてですが若い娘というのは、世界中どこの国の娘でもたいして違わないんだな・・・と感じました。やはり喋り方や仕草がカワイイ。
特にメガネの似合うエミリーはマジメな優等生なんでしょう。
私がなにか話しかけると、すこし恥ずかしそうにうつむきながら喋ります。
「トミー先生。エミリーはシャイなんですよー。ほらエミリー、もっとしゃんとして!」
連れの娘がからかいます。こっちの娘も見た目はちょっとゴツい感じですが、喋るとやはりかわいらしいです。
ああ、なんかひさしぶりに楽しい夕食だなあ。。。
料理を食べて、見事なタイダンスを見物して楽しい夕食が終わる頃、係員がお客全員を庭にある特設ステージのほうに誘導します。
ステージというよりコロシアムのような円形のミニスタジアム。
「何が始まるんですかね?」これはタカ。
「さあ?なにかまだアトラクションがあるんだろうね」
しばらくすると、山岳民族の衣装を着た小汚い感じの娘が5人現れます。観ていると5人は「カゴメカゴメ」をするように輪になって手をつなぎ、くるくると回り始めます。なんなんだ?これは。。
3分ほどの間、娘たちはただ回り続け、それが終わるとニコリともせずに退場します。観客は何があったのか分からず、ただそれを呆然と見送ります。
「な、なあタカ。今のあれ、何だったの???」
「はあ・・・?もしかして、踊りだったんじゃ?」
そんなことを言ってる間に別の娘たちが4人現れる。
こんどは横一列になって手を繋ぎ、蟹のように横歩きで三歩進み逆方向に三歩歩く・・・これを延々三分間。。。
「師匠・・・オレ、なんか腹立ってきたんですけど」
「うん。たしかにこれ、ちょっとムカつくよね」
さきほどレストラン内で見事なタイダンスを見ているだけに、この芸もクソもない、ただ山岳民族の娘であることだけが売りのようなダンスもどきは、何か嫌なものを感じます。
つづけて輪になってケンケンを3分間見せられるにいたっては、モノを投げたくなってきた。(エミリーちゃんたちも居る手前、逆上するのは抑えましたが・・・)。
こいつらには・・・・観客を楽しませようという意識がかけらほども無く、しかも自分たちも実につまらなそうに、この無意味なダンス(?)を踊っているのだ。。。
せっかくの楽しいディナーを台無しにして余りあるアトラクションが終わり私たちはバスに戻ります。
道の両脇には、山岳民族の土産物屋が・・・こいつら!さっき踊ってた連中じゃないか!!
こいつらは確かに、恵まれない少数民族かもしれない。
これが数少ない現金獲得の手段なんでしょう。
しかし、さきほどのような、ただ同情にすがった甘えのかたまりのようなショウを見せられては、とてもじゃないが同情できない。
・・・おまえらはもっとビジネスの厳しさを知る必要がある。。
その場に居た数十人の客のだれひとりとして、何も買わなかったのは言うまでも有りません。
ホテルに戻り、気分なおしに飲みましょうとジョンが誘いますが、エミリーたちは疲れたということで、部屋に戻ってしましました。残念。
すこしだけジョンたちに付き合って私たちも部屋に戻ります。
「エミリーちゃんたちと、もっと仲良くなりたかったのになあ。。。」
「まあ、また機会もあるでしょう。で、明日の予定は?」
・・・予定といっても、特にスケジュールがあるわけではありませんが、ひとつだけ片付けておきたいことがある。
「バンコクから送った荷物ね、あれを預けた人に会おうと思う。久しぶりに会うんだけど、なかなかたくましくてカッコイイ・・・女性だよ」