アルハンブラの思い出
文字数 1,546文字
案内された部屋はなかなか清潔で、アンティークな彫刻を施したソファーまで置いてあります・・・大変気に入った!・・・これはアタリです。
「シャワーを浴びて一息つかれたら中庭にお越しください。みんなで紅茶でも飲みましょう」
おばさんが言います。
「はい。ごちそうになります。ありがとうございます」
「ええ、では後ほど・・・」
シャワーを浴びてから中庭に出ると、庭の真ん中に置かれた丸テーブルにはすでにプレディーと彼のおばさん、それと10代後半と思われる男の子と女の子が席についておりました。
「シショー、タカセンパイ。彼らはぼくの従姉妹です。兄のマヒンダと妹のスジャータです」
プレディーに紹介され、私たちは挨拶をかわしました。
ふたりともかなりの美少年・美少女です。
とくに私はスジャータちゃんが気になって・・・いやいや。ここで間違いを起こすわけにはいきません。。。
あ、タカもなんか緊張してる。
お茶を飲みながら談笑。スジャータちゃんは控えめなスリランカの女性らしく、ほとんど会話しません。
ときおり話を振ると、恥ずかしそうにうつむいて笑みを浮かべます。
・・・がわいい!!
一方マヒンダ君のほうは実に積極的に話しかけてきます。
日本のこと空手のこと・・・好奇心旺盛なようです。
「・・・で、僕は将来日本へ行って勉強したいんです。日本で経済学を勉強してスリランカをもっと豊かにしたい・・」
見上げた愛国心です。感心感心。
「あ、そうだ。僕は日本の楽器、持ってます。ちょっと待ってください」
と言ってどこかに走って行きしばらくすると戻ってきました。
「これです。これ」
抱えてきたものはギターでした。
「ヤマハです。これ日本のものでしょう?」
確かに・・・インドネシア製ではありましたが間違えなくヤマハのFGです。
「へえ。。君、ギター弾けるんだ」
「いえ、あまり弾けないんです。これから練習しようと思って」
私は若い頃にバンドをやっていたこともあり上手くはないですがギターが弾けます。
簡単にチューニングして弦をつま弾いてみると、さすがはヤマハのギター。
なかなか良い音がします。
「シショー、ギター弾けるんですか。すごいなあ。タカセンパイは?」
プレディーが聞きます。
「ん?弾けるよ」
・・・え?弾けるの??初耳だ。
「師匠、ちょっと貸してください」
ギターを手渡すとタカはさらに入念にチューニングを直して弾き始めます。
・・!!!・・・
これは?・・タカのキャラクターからは想像もつかない繊細なメロディー。。
どうやらクラシックのようです。
ものすごく早いトレモロ奏法。起伏に跳んだ美しい音色。。。
タカの奏でるメロディーは庭の木々や花々の間を駆け巡り・・・私たちは魔法に掛かったように、ただうっとりと聞き入ってしまいました。
演奏が終わってもしばし、誰も言葉を発する者はありませんでした。
間をおいて我に帰った一同は思い出したように拍手します。
「タ・タ・タカセンパイ!!すごいよ!!すばらしい!」
プレディーが興奮して言います。。
見るとおばさん、マヒンダ君、スジャータちゃんもうっとりしてタカを見ています。
「タカ!すごいじゃない。知らなかったよ。そんな特技があるなんて」
「押忍。習ってた事が有るんですよ」
「今のは何て曲?」
「押忍。『アルハンブラの思い出』です」
今の今までタカにこんな高尚な趣味があるとは知りませんでした。
だってつい先ほど見ず知らずのスリランカ人をぶん殴ったその同じ手で、こんな繊細なメロディーが奏でられるなんて誰も思わないでしょう?
気がつくとタカを上目遣いで見つめながら、タカのティーカップに紅茶をそそぐスジャータちゃん。。。
・・・しまった!完全に1本取られた!!!
「シャワーを浴びて一息つかれたら中庭にお越しください。みんなで紅茶でも飲みましょう」
おばさんが言います。
「はい。ごちそうになります。ありがとうございます」
「ええ、では後ほど・・・」
シャワーを浴びてから中庭に出ると、庭の真ん中に置かれた丸テーブルにはすでにプレディーと彼のおばさん、それと10代後半と思われる男の子と女の子が席についておりました。
「シショー、タカセンパイ。彼らはぼくの従姉妹です。兄のマヒンダと妹のスジャータです」
プレディーに紹介され、私たちは挨拶をかわしました。
ふたりともかなりの美少年・美少女です。
とくに私はスジャータちゃんが気になって・・・いやいや。ここで間違いを起こすわけにはいきません。。。
あ、タカもなんか緊張してる。
お茶を飲みながら談笑。スジャータちゃんは控えめなスリランカの女性らしく、ほとんど会話しません。
ときおり話を振ると、恥ずかしそうにうつむいて笑みを浮かべます。
・・・がわいい!!
一方マヒンダ君のほうは実に積極的に話しかけてきます。
日本のこと空手のこと・・・好奇心旺盛なようです。
「・・・で、僕は将来日本へ行って勉強したいんです。日本で経済学を勉強してスリランカをもっと豊かにしたい・・」
見上げた愛国心です。感心感心。
「あ、そうだ。僕は日本の楽器、持ってます。ちょっと待ってください」
と言ってどこかに走って行きしばらくすると戻ってきました。
「これです。これ」
抱えてきたものはギターでした。
「ヤマハです。これ日本のものでしょう?」
確かに・・・インドネシア製ではありましたが間違えなくヤマハのFGです。
「へえ。。君、ギター弾けるんだ」
「いえ、あまり弾けないんです。これから練習しようと思って」
私は若い頃にバンドをやっていたこともあり上手くはないですがギターが弾けます。
簡単にチューニングして弦をつま弾いてみると、さすがはヤマハのギター。
なかなか良い音がします。
「シショー、ギター弾けるんですか。すごいなあ。タカセンパイは?」
プレディーが聞きます。
「ん?弾けるよ」
・・・え?弾けるの??初耳だ。
「師匠、ちょっと貸してください」
ギターを手渡すとタカはさらに入念にチューニングを直して弾き始めます。
・・!!!・・・
これは?・・タカのキャラクターからは想像もつかない繊細なメロディー。。
どうやらクラシックのようです。
ものすごく早いトレモロ奏法。起伏に跳んだ美しい音色。。。
タカの奏でるメロディーは庭の木々や花々の間を駆け巡り・・・私たちは魔法に掛かったように、ただうっとりと聞き入ってしまいました。
演奏が終わってもしばし、誰も言葉を発する者はありませんでした。
間をおいて我に帰った一同は思い出したように拍手します。
「タ・タ・タカセンパイ!!すごいよ!!すばらしい!」
プレディーが興奮して言います。。
見るとおばさん、マヒンダ君、スジャータちゃんもうっとりしてタカを見ています。
「タカ!すごいじゃない。知らなかったよ。そんな特技があるなんて」
「押忍。習ってた事が有るんですよ」
「今のは何て曲?」
「押忍。『アルハンブラの思い出』です」
今の今までタカにこんな高尚な趣味があるとは知りませんでした。
だってつい先ほど見ず知らずのスリランカ人をぶん殴ったその同じ手で、こんな繊細なメロディーが奏でられるなんて誰も思わないでしょう?
気がつくとタカを上目遣いで見つめながら、タカのティーカップに紅茶をそそぐスジャータちゃん。。。
・・・しまった!完全に1本取られた!!!