露店街ファイト
文字数 1,332文字
さて、私が出店した露店街はボーリング場や映画館、レストランなどが入ったレジャー施設のお客を狙った場所でした。
平日などは昼過ぎに店をだしても夕方まではヒマなのです。
店を出している若者は格闘技好きが多かったので、このヒマな時間はそういった話題で盛り上がることがしばしばでした。
ある日のこと。
飲食の屋台を出している若者数名が集まって空手談義に花を咲かせておりました。
フランクフルトを焼いているひとりは自称**会館の黒帯ということで、先ほどから突き蹴りを実演していますが・・・私の見るところ、黒帯というのはハッタリです。
「おい、タカ。ちょっと教えてやるからこっち来い」
自称黒帯くんがタカに声をかけました。
「・・・はい・・」無愛想な返事とともにタカ登場。
黒帯くんが構えて「よし、どっからでもかかって来い!」と言うと同時に、タカは目のさめるようなスピードで頭を左右に振りながら黒帯くんの内懐にもぐりこみます。
そして、左の掌でボディアッパーからアゴへのアッパーカットの連打を一瞬のうちに決めました。
・・どさっ。黒帯くんがひっくり返ります。
強い!ボクシングの動きです。
「たっタカ!貴様!このやろう」他の若い連中がいきりたちます。
・・・うわあ。なんかヤバい展開です。このままじゃタカ、袋叩きだ。
タカもタカで謝るでもなくボクシングの構えのまま、まわりの連中を睨みつけております。
五人の若者がぐるっと・・・タカを包囲しました。
ところで私はそもそも小心者のチキン野郎ですので、こういう暴力沙汰は大の苦手です。
第一他人のケンカに巻き込まれるのなんかまっぴら御免なのですが、このときは毎日顔を合わせている連中のもめごとですし、いまにもリンチが始まる現場に居合わせているのですから黙っているわけにもいかず、おそるおそるタカを取り囲んだひとりに声をかけます。
「あの~ちょっとすみません。やっぱ、その5人でひとりをやるのはマズいんじゃないですかね・・」
私は彼らよりも年長なんですが、新参者でもありますので下手にものを言います。
「ああ?なんだあんた。関係ないだろ。黙ってなよ」
「いやあ、そりゃそうなんですがね。私、さっきから見てたんですがこの場合・・えっと、その人がね・・」
私は地べたに座りこみアゴを押さえてうなっている黒帯くんを指差して言いました。
「ほら一応、黒帯の方がかかってこいといったのでタカくんはかかっていったわけで・・・ま、結果としてこういう事になったけど、そんなに怒るほどの事じゃないと思うんですよ」
「ああ!だからって本気で殴ることないだろうが!」
「いや、タカくんは拳つかわずに掌で叩いてましたよ。本気じゃない。拳でやってたらあの人、アゴ割れてますよ」
ちょっと余計なことまで言ってしまうのが私の悪い癖です。若い衆の火に油を注いでしまった。
「ああっ!なんだと!」「お前タカをかばってんのかあ!」「一緒にやっちゃうぞ」
「あ、いや・・・そんな・・・かばうだなんて・・・」うろたえる私。
「お、おいタカくん。君も謝れよ」
するとタカは・・・
「オレ、なんにも悪いことしてないもん」
・・・この!・・してないもんて・・・状況考えろ!この馬鹿!
が、そのとき。。
平日などは昼過ぎに店をだしても夕方まではヒマなのです。
店を出している若者は格闘技好きが多かったので、このヒマな時間はそういった話題で盛り上がることがしばしばでした。
ある日のこと。
飲食の屋台を出している若者数名が集まって空手談義に花を咲かせておりました。
フランクフルトを焼いているひとりは自称**会館の黒帯ということで、先ほどから突き蹴りを実演していますが・・・私の見るところ、黒帯というのはハッタリです。
「おい、タカ。ちょっと教えてやるからこっち来い」
自称黒帯くんがタカに声をかけました。
「・・・はい・・」無愛想な返事とともにタカ登場。
黒帯くんが構えて「よし、どっからでもかかって来い!」と言うと同時に、タカは目のさめるようなスピードで頭を左右に振りながら黒帯くんの内懐にもぐりこみます。
そして、左の掌でボディアッパーからアゴへのアッパーカットの連打を一瞬のうちに決めました。
・・どさっ。黒帯くんがひっくり返ります。
強い!ボクシングの動きです。
「たっタカ!貴様!このやろう」他の若い連中がいきりたちます。
・・・うわあ。なんかヤバい展開です。このままじゃタカ、袋叩きだ。
タカもタカで謝るでもなくボクシングの構えのまま、まわりの連中を睨みつけております。
五人の若者がぐるっと・・・タカを包囲しました。
ところで私はそもそも小心者のチキン野郎ですので、こういう暴力沙汰は大の苦手です。
第一他人のケンカに巻き込まれるのなんかまっぴら御免なのですが、このときは毎日顔を合わせている連中のもめごとですし、いまにもリンチが始まる現場に居合わせているのですから黙っているわけにもいかず、おそるおそるタカを取り囲んだひとりに声をかけます。
「あの~ちょっとすみません。やっぱ、その5人でひとりをやるのはマズいんじゃないですかね・・」
私は彼らよりも年長なんですが、新参者でもありますので下手にものを言います。
「ああ?なんだあんた。関係ないだろ。黙ってなよ」
「いやあ、そりゃそうなんですがね。私、さっきから見てたんですがこの場合・・えっと、その人がね・・」
私は地べたに座りこみアゴを押さえてうなっている黒帯くんを指差して言いました。
「ほら一応、黒帯の方がかかってこいといったのでタカくんはかかっていったわけで・・・ま、結果としてこういう事になったけど、そんなに怒るほどの事じゃないと思うんですよ」
「ああ!だからって本気で殴ることないだろうが!」
「いや、タカくんは拳つかわずに掌で叩いてましたよ。本気じゃない。拳でやってたらあの人、アゴ割れてますよ」
ちょっと余計なことまで言ってしまうのが私の悪い癖です。若い衆の火に油を注いでしまった。
「ああっ!なんだと!」「お前タカをかばってんのかあ!」「一緒にやっちゃうぞ」
「あ、いや・・・そんな・・・かばうだなんて・・・」うろたえる私。
「お、おいタカくん。君も謝れよ」
するとタカは・・・
「オレ、なんにも悪いことしてないもん」
・・・この!・・してないもんて・・・状況考えろ!この馬鹿!
が、そのとき。。