宿でのトレーニング

文字数 1,130文字

 翌朝、ホテルのブレックファーストを食べた私たちは、そのまま、部屋にもどります。今日は一日部屋にこもって中田さんからの連絡を待つのだ。。

 部屋に戻って一息つくと、タカは昨日のムエタイ会場の土産物屋で買った、ムエタイ・トランクスに着替えてトレーニングを始めます。
 タカは今回の旅行中もほぼ毎日、トレーニングを欠かしていません。

 入念なストレッチ・・・体を十分にほぐしてから股割り。見事に足が左右に広がります。
 立ち上がって前蹴上げ。足が耳の横までびしっと上がります。

 そんなタカの稽古ぶりを、私はベットに寝そべって眺めています。

 ・・・僕も昔はあれくらいビュンビュン足が上がったもんだなあ。。

「師匠!いつまでも寝転がってないで、たまには稽古つけてくださいよ!ほら昨日言ってた、対ムエタイ戦略。あれ、教えてください。さ、立って!」

「・・・ああ。。あれね」

 よいしょっと。。立ち上がって・・なんかまだ眠いや。。

「OK。はい、構えて・・・そうそう。で、タカはムエタイ役ね。前後にリズム取って、後ろ足で中段を蹴ってみ」

 タカは言われたとおり、前後に足踏みするリズムを取って後ろ足に体重が乗った直後、すばやくミドルの回し蹴りを飛ばします。
 私はそれをバックステップでかわして・・・・・ウグッ!!

 ・・・タカのつま先が・・・腹に食い込んでいる!!


「あう~~っ。。。。」

 うずくまる私にタカの冷ややかな目が。。。



「師匠・・何やってんの!」

「う~。。昔より腹が出てる分の見切りを誤ったあ。。いてえよタカあ。。」

「いつも食っちゃ寝してるからですよ。たまには運動しなきゃ。ああ、もう見ちゃいられん・・・もういいですから寝ててください」


 私は腹をさすりながらふたたびベットへ。。

 タカは私を見限って、今度はひとりで腕立て伏せ。

 普通のを一通りやったあと指先で腕立て伏せ・・指を一本ずつ減らしていって最終的には片手で親指・人差し指の2本でやってる・・・よく飽きないものだ。。。感心感心。


 ひととおりのトレーニング・メニューを消化したタカは、シャワーを浴びて涼んでいます。

「タカ、じゃ、そろそろ昼飯でも食いに行くか」

「え?もう食うんですか・・そんなことだから腹が出るんですよ。まったく」

 そのとき、電話が鳴ります。受話器を取るとやはり中田さんからの外線電話です。

「いまから、そっちに行きます。お昼は食べましたか?・・じゃ一緒にお昼を食べに行きましょう。では、あとで」

 ・・・例の件は片付いたんだろうか・・・?

 
 30分ほどして中田さん到着。。

 ・・・それはいいが・・それはいいけど中田さん。この非常時に、なんであんた女連れなんだ!?

 ・・・誰だよ!そのカワイイ日本人娘は・・・!!
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