強敵登場?
文字数 2,323文字
「トミーちゃんはやっぱりダメだったのね?」
「押忍。本当に師匠はチキンです」
・・朝食を食べながら、静子さんとタカが私のことをボロクソに言ってます。
「この子は昔から根性がないのよ。師匠とか呼ばれるようになって、少しはマシになったかと思ったのに」
「いーや。全然ダメですね。オレが思うに、これは一生直らないです」
・・・朝食を運んできたオームもなんか機嫌悪いし、私はすごく居心地悪い。
そのとき一台のトゥクトゥクが、庭に入ってきます。
「あら?誰かしら。今頃うちに人が来るなんて?」
「先生ー。トミー先生いますかー!」
「あれ?あれはジョンの声だ」
「押忍。そうみたいですね」
庭に降りてみると、トゥクトゥクから降りてきたのはジョンとビル、それになんとエミリーです。
「おはよう!良くここが分かったなあ」
声をかけるとジョンが答えます。
「ホテル前にたむろしているトゥクトゥクに案内してもらったんです。しかし先生、それどころじゃないですよ。先生は大変な奴に狙われていますよ」
・・・?僕は狙われるほど大物じゃないんだが。。。
つづけてエミリーが話します。かわいい顔が緊張しています。
「レストランでトミー先生と別れたあと、私、ピエールの誘いを断ったんです」
・・・ピエール?ああ、あのフランス野郎か。
「でも、そうしたら急に態度が変わって・・付きまとわれて怖くなったんです。それで、ジョンさんとビルさんに助けてもらったんですよ」
ビルがつづけます。
「俺達でちょっと強く言ってやったんですよね。そしたらあいつもビビったみたいなんですけど、去り際に『あの日本人のせいだ。必ずひどい目に会わせてやる!』って捨て台詞残して行ったんですよ」
「ああ・・・あんなにやけフランス人、何を言っても怖くないよ。大丈夫」
私は余裕を見せます。するとジョンが。。
「ところがそうでもないんです。昨晩、オレとビルはレストランのバーで飲んでいたんですよ。ふたりでハイネケンをラッパ飲みしてたら、ピエールが背の高いガタイのいい男と一緒にやってきたんだ」
・・・ふむふむ。。
「何しにきやがった!ってオレも啖呵を切りましたよ。するとピエールの連れの男のほうが近づいてきて言うんですよ。『俺の友人がくわえていたタバコを蹴り飛ばした日本人が居るって聞いたけど、どこへ行った?』って」
「オレも酔ってましたからね。『人に物を尋ねるなら、それなりの挨拶があるだろう!』と言ってやったんです。・・・そしたら。。」
・・・そしたら?
「そしたら、そいつは『挨拶か・・』と言ってニヤリと笑うと、くるっと後を向くから、帰るのかと思ったら・・なんと、そいつはいきなり後回し蹴りを蹴ってきたんですよ」
・・・!
「オレはとっさにかわしたんです。いや・・かわしたと思ったんだ。しかしふと我に返って、手に持ったハイネケンを見ると・・・ビンの首の部分が無くなっているんです!信じられますか?俺が手に持っているビール瓶の首だけを蹴り飛ばしたんですよ・・・で、奴は言ったんだ『くわえタバコを蹴り飛ばすのと、どっちが上かな?』・・って」
・・・。。
「オレは恥ずかしながら、ピクリとも動けませんでしたよ。奴の目に射すくめられたんだ。動いたら殺されるんじゃないかと思った。。で、言ったんです。日本人はホテルを出て行った。知り合いの家に行くって言ってた・・って。すみません。ビビって喋っちゃった」
それはビビるのも無理は無いでしょう。
そこで、タカが横から口を挟みます。
「師匠。なんかすごい強敵現るですね。さあ、どうします?」
・・・どうしますって・・お前、なんかわくわくしてない?
「どうするもこうするも・・・逃げるよ」
「は?逃げるんですか?」
「あったりまえだろ。お前さ、ジョンは**会館の茶帯だよ。そのジョンがピクリとも動けなかったんだぜ。そんなのに勝てるわけ無いじゃん。僕らはドラゴンボールの登場人物じゃないんだから、次々現れる強敵といちいち戦ってたら命がいくつあっても足りないぞ。アクションシーンはバンコクだけで十分だ」
静子さんが近づいてきて言います。
「逃げるんだったら、早い方がいいわね。この人たちがここに来たくらいだから、そいつらが来るのも時間の問題よ。私がクルマでチェンライまで送るわ」
「助かります!」
するとエミリーが駆け寄ってきます。
メガネの奥の、大きな目がウルウルしてます。
「私も一緒に連れて行ってください。あいつらが怖いんです」
と言って、私の両手を握り締めます・・・こういうのに私は弱い。。
「トミー!」ありゃ・・・オームの声だ。。
「トミーっ!その娘はだれ?まさかトミーはその娘が居るからオームのことを?トミーは私が18になるまで待つって言ったじゃない」
・・・いや、言ってない。
タイの女の子の一番困ったところは、とにかく嫉妬心が強いことです。
「そんな・・・黒人娘のどこがいいのよ!」
タイ人はなぜか黒人に対する感情が良くないです。オームは黒人差別と嫉妬がごちゃ混ぜになっています。
ああ、ややこしい。。
「トミーちゃん!」こんどは静子さんだ。
「残念。遅かったみたい。来ちゃったわ・・・・」
「え、マジ?ああ。。。」
トゥクトゥクがけたたましく入ってきました。ピエールともうひとりの男が乗っています。
エミリーが私の後ろに隠れました・・・私はすごくビビっているのですが、女性の居る手前、逃げ出すことも出来ず・・・ああ、いやだ。
ビルとジョンも緊張しています。
タカだけが・・・なぜかやる気満々なのか、いつでも飛び出せる体制です。
ピエールが先に降りてきました。つづいてもうひとりの男が・・
「探したぞ日本人・・・」
「押忍。本当に師匠はチキンです」
・・朝食を食べながら、静子さんとタカが私のことをボロクソに言ってます。
「この子は昔から根性がないのよ。師匠とか呼ばれるようになって、少しはマシになったかと思ったのに」
「いーや。全然ダメですね。オレが思うに、これは一生直らないです」
・・・朝食を運んできたオームもなんか機嫌悪いし、私はすごく居心地悪い。
そのとき一台のトゥクトゥクが、庭に入ってきます。
「あら?誰かしら。今頃うちに人が来るなんて?」
「先生ー。トミー先生いますかー!」
「あれ?あれはジョンの声だ」
「押忍。そうみたいですね」
庭に降りてみると、トゥクトゥクから降りてきたのはジョンとビル、それになんとエミリーです。
「おはよう!良くここが分かったなあ」
声をかけるとジョンが答えます。
「ホテル前にたむろしているトゥクトゥクに案内してもらったんです。しかし先生、それどころじゃないですよ。先生は大変な奴に狙われていますよ」
・・・?僕は狙われるほど大物じゃないんだが。。。
つづけてエミリーが話します。かわいい顔が緊張しています。
「レストランでトミー先生と別れたあと、私、ピエールの誘いを断ったんです」
・・・ピエール?ああ、あのフランス野郎か。
「でも、そうしたら急に態度が変わって・・付きまとわれて怖くなったんです。それで、ジョンさんとビルさんに助けてもらったんですよ」
ビルがつづけます。
「俺達でちょっと強く言ってやったんですよね。そしたらあいつもビビったみたいなんですけど、去り際に『あの日本人のせいだ。必ずひどい目に会わせてやる!』って捨て台詞残して行ったんですよ」
「ああ・・・あんなにやけフランス人、何を言っても怖くないよ。大丈夫」
私は余裕を見せます。するとジョンが。。
「ところがそうでもないんです。昨晩、オレとビルはレストランのバーで飲んでいたんですよ。ふたりでハイネケンをラッパ飲みしてたら、ピエールが背の高いガタイのいい男と一緒にやってきたんだ」
・・・ふむふむ。。
「何しにきやがった!ってオレも啖呵を切りましたよ。するとピエールの連れの男のほうが近づいてきて言うんですよ。『俺の友人がくわえていたタバコを蹴り飛ばした日本人が居るって聞いたけど、どこへ行った?』って」
「オレも酔ってましたからね。『人に物を尋ねるなら、それなりの挨拶があるだろう!』と言ってやったんです。・・・そしたら。。」
・・・そしたら?
「そしたら、そいつは『挨拶か・・』と言ってニヤリと笑うと、くるっと後を向くから、帰るのかと思ったら・・なんと、そいつはいきなり後回し蹴りを蹴ってきたんですよ」
・・・!
「オレはとっさにかわしたんです。いや・・かわしたと思ったんだ。しかしふと我に返って、手に持ったハイネケンを見ると・・・ビンの首の部分が無くなっているんです!信じられますか?俺が手に持っているビール瓶の首だけを蹴り飛ばしたんですよ・・・で、奴は言ったんだ『くわえタバコを蹴り飛ばすのと、どっちが上かな?』・・って」
・・・。。
「オレは恥ずかしながら、ピクリとも動けませんでしたよ。奴の目に射すくめられたんだ。動いたら殺されるんじゃないかと思った。。で、言ったんです。日本人はホテルを出て行った。知り合いの家に行くって言ってた・・って。すみません。ビビって喋っちゃった」
それはビビるのも無理は無いでしょう。
そこで、タカが横から口を挟みます。
「師匠。なんかすごい強敵現るですね。さあ、どうします?」
・・・どうしますって・・お前、なんかわくわくしてない?
「どうするもこうするも・・・逃げるよ」
「は?逃げるんですか?」
「あったりまえだろ。お前さ、ジョンは**会館の茶帯だよ。そのジョンがピクリとも動けなかったんだぜ。そんなのに勝てるわけ無いじゃん。僕らはドラゴンボールの登場人物じゃないんだから、次々現れる強敵といちいち戦ってたら命がいくつあっても足りないぞ。アクションシーンはバンコクだけで十分だ」
静子さんが近づいてきて言います。
「逃げるんだったら、早い方がいいわね。この人たちがここに来たくらいだから、そいつらが来るのも時間の問題よ。私がクルマでチェンライまで送るわ」
「助かります!」
するとエミリーが駆け寄ってきます。
メガネの奥の、大きな目がウルウルしてます。
「私も一緒に連れて行ってください。あいつらが怖いんです」
と言って、私の両手を握り締めます・・・こういうのに私は弱い。。
「トミー!」ありゃ・・・オームの声だ。。
「トミーっ!その娘はだれ?まさかトミーはその娘が居るからオームのことを?トミーは私が18になるまで待つって言ったじゃない」
・・・いや、言ってない。
タイの女の子の一番困ったところは、とにかく嫉妬心が強いことです。
「そんな・・・黒人娘のどこがいいのよ!」
タイ人はなぜか黒人に対する感情が良くないです。オームは黒人差別と嫉妬がごちゃ混ぜになっています。
ああ、ややこしい。。
「トミーちゃん!」こんどは静子さんだ。
「残念。遅かったみたい。来ちゃったわ・・・・」
「え、マジ?ああ。。。」
トゥクトゥクがけたたましく入ってきました。ピエールともうひとりの男が乗っています。
エミリーが私の後ろに隠れました・・・私はすごくビビっているのですが、女性の居る手前、逃げ出すことも出来ず・・・ああ、いやだ。
ビルとジョンも緊張しています。
タカだけが・・・なぜかやる気満々なのか、いつでも飛び出せる体制です。
ピエールが先に降りてきました。つづいてもうひとりの男が・・
「探したぞ日本人・・・」