第29話 「宇宙」について

文字数 3,068文字

宇宙は不思議。宇宙は謎。宇宙は計り知れない。でも、宇宙は面白い。宇宙は興味深い。宇宙は飽きない。そんな感じではないだろうか。初めて宇宙を想像できた人は凄いし。初めて宇宙に行こうと思った人も凄い。実際に多くの研究が行われ、実際に何人もが宇宙に行った。でも、まだそれは宇宙のほんの一部である。「みか」と「サイトウ」にとって宇宙はどのような対象なのだろうか?
みかちゃん、久しぶり。
おぉ、久しぶり。どうしたの?
ちょっと色々忙しくてね、あまり時間なかった。
仕事とか?
そうだね、休日出勤とかもあったし。
そっかぁ。少しは落ち着いたの?
まぁ、そろそろ落ち着くのかなって感じ。ちょっと疲れたまってるね。
体調には気をつけね。
うん、ありがとう。
仕事以外では最近どうなの?変わりないって感じ。
まぁそうだね、特に変わりないって感じかな。最近気になったことといえば、野口さんが宇宙に行ったでしょ?あのニュース見て、やっぱ宇宙って何か興味深いなって思ってたよ。
確かにニュースでやってた。あの人、以前にも行ってたよね?
そうだね、確か3回目じゃなかったかな。でも今回は企業が開発した民間の宇宙船で行ったんだよね。その民間っていうのは初なんだよね。
へぇーそうなんだ。それでちょっと注目されてたんだ。
そう、宇宙行くだけでも凄いけど、民間の宇宙船というのも今回は注目だったね。人と宇宙の未来にとっては大きな一歩かもしれないね。
ふーん。サイトウさんは宇宙に興味があるんだね。
うん、まぁそうかな。みかちゃんは?そうでも無いの?
無いわけじゃないけど、何とも。映画とかは見たりするけどね、まぁそんな感じかぐらい。あまり実感できないというか想像上の世界というか、そんな感じかな。
あぁ、何となくわかるよ。確かに想像しきれないところはあるよね。宇宙は無限とか、ちょっとずつ広がってるとか、ブラックホールとか。腑に落ちないというか、理解しきれない点はあるね。
うん、全然意味わからんし。
小学生か中学生の頃、宇宙の向こう側は何なんだろうって考えてたら眠れなくなった事があったよ。確かに想像できないんだよね。まぁ限りある世界だけで生きている人である限り理解できないのかもしれないけど。
何かサイトウさんらしい。小学生の時にそんな事考えて眠れなくなるなんて。
そう?確かに変わっていたかもしれない。
うん。
でも、そういう話って色々研究されているし、本とかでも詳しく解説されてたりするんだけどね。そういう本を読んだこともあるけど、逆に謎のままにしてた方が面白いかなって思って、それ以降はそういう本を読むのをやめたんだよね。
えっ、興味あるなら知りたいものじゃないの?いっぱい読んで理解したいってわけじゃないんだ?
うん、そんな感じではないんだよね。何か興味あること、好きなことに対してとる行動って必ずしも詳しく知りたいってだけでも無い気がするんだよね。興味がある、好きだから詳しく知りたいってことももちろんあるだろうけど。でも、興味がある、好きだから、なんか色々想像したり、妄想したり、イメージ膨らませてる事が面白いし楽しいって場合もあると思うんだよね。で、その場合って変に知っちゃうよりも知らない状態でいた方が良かったりするみたいな。僕にとっての宇宙ってそんな感じな気がするんだよね。
へぇーそんなもんかな。
料理とか、音楽とか、それに人だって、あまり詳しく知らない方が、美味しいとか素敵って感じることってない?多分、それと同じような感覚だと思う。
あぁ、確かにそういうことはある気がするね。人も微妙な関係でいた方が好きって感じることがありそう。どういう人なのかな、普段何してるのかな、どんな事が好きなのかなって想像してる時が楽しかったりはするね。
そうそう、そういう感覚。だから好きだからって無理に知ろうとしなくてもいいのかもしれないね。自分がどういう位置付けでその対象を好きなのかを考えて行動した方がいいのかもね。詳細に理解する事が好きだったらしっかり学んだり、情報収集すればいいだろうし、想像する事が好きだったらその対象と絶妙な距離を保ちつつ想像することを楽しみ続ければいいだろうし。
うん、そうだね。そういう感覚を考えたことなかったから面白い。ウチもちょっとその「好き」の違いを考えてみる。
うん、もしかしたら想像する方の好きがあるかもしれないよ。もしかしたら、もっと別の好きがあるかもしれないし。
そうだね、わかった。そう言えばさぁ、サイトウさんは宇宙人はいると思ってるの?
宇宙人?
そう、宇宙人。
そうだね、存在してるとは思ってるよ。
そうなんだ。
まぁ宇宙は広いからね。地球と同じような環境がそこにあっても不思議ではない。その条件が揃えば人と同じような存在はあるかもしれないとは思ってるよ。
そうなんだ。それって良く見る宇宙人のイメージ?
あぁ、あの目が大きいやつ?グレイって言うんだっけ?
そうそう、それ。
んーそういうイメージは特にないけど、確かにあぁいう姿って場合もあるかもね。本当に環境が地球と同じように変化して、それで生まれた生物が同じように進化していって、同じように思考していけば地球人っぽくはなるだろうけど。何かしらの条件が異なれば姿は変わってくるだろうね。人とは全然異なる生物がその星を支配してることだってあるだろうし。
なるほどね、確かにそういうことはありそうだね。
うん。あとさっき支配っていったけど、その星から宇宙に行く生物って考えた方がいいのかな。地球から宇宙に行くのは人だけど、他の星から宇宙に行くのは必ずしも人、もしくら人らしき生物ではないかもだしね。それに、他の星から地球に来た生物が何に興味を示すのかっていうのも何か興味深いね。
確かに地球みたいな星があったとしても、人っぽい生物が宇宙に行って、地球を覗きにくるとは限らないね。うん、面白いね。地球の何の生物に興味を示すっていうのはどういうこと?
僕ら人間からしてみたら当然人間を認識して、人間にコンタクトしてくると思ってるだろうけど。そうとも限らないよね。犬とか猫とか鳥とかに興味を示すかもしれないし。カラスとかね。何が地球を支配してるかって感じ方も違うんじゃないかな。もっと全然小さな生物が支配してるって認識するかもしれないし、植物が支配してるって認識するかもしれない。そう考えると人間は気づいていないだけで、既に人間以外の何かに宇宙の生物がコンタクトをとってるのかもしれないね。
へぇーなるほど。まだ良くわからないけど面白い発想だね。
そう、こういうのを考えるのが好きなんだよね。面白いよね。
うん、確かにね。
あとは、我々人間自体が宇宙からやってきた生物って考えることもできるんだよね。
あぁ、そういうことを言ってるのは前に聞いたことある。
そうなんだ。でもそれを前提にすると僕らがたまにふざけて、『ワレワレハ宇宙人ダ』っていうのは強ち間違いではないのかもしれないね。
えぇそういうこと?それはウチが本当は宇宙人ってこと?
そう、そういうこと。まぁでも別に間違いではないよね?他の星から見たら、我々地球人は宇宙人なわけだし。それは日本人がアメリカ人から見たら外国人っていうのと同じだよね。
あぁなるほどね。そういう考え方ね。
そう。まぁこんな感じで色々想像して楽しめるでしょ。色々知りすぎていたら、こうはならないだろうし。だからものによってな好きなものとは適度な距離をとるのが大事なんだよね。
確かに楽しめるね。
そう、だからみかちゃんとの距離も意識しないとね。
えっ?
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登場人物紹介

「サイトウ」と名乗っている。本名ではない。自分のことをボクと呼ぶ。AB型の男。ロックが好き。

「みか」と名乗っている。本名ではない。自分のことをウチと呼ぶ。O型の女性。ミルクティーが好き。

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