第12話

文字数 914文字

視線を感じた。ベンチに座る僕に。同年代の女性がワンボックスカーに忘れ物を取りに来たみたいだった。他所を眺めていると。

何度かこちらを確認しているようで。笑顔を見せて悪さはしないよ。って伝わればいいかな?とした。

探し物を手にして旦那さんと子供のいる方へ帰っていった。俯きながら小走りに。

女性「悪い人です」

いやいやいや…。不審者に見えてしまったのか…。忘れ物が違ったようで。娘さんを連れて再び戻って来た。

女性「悪さしてきやーらへんか、代わりに見といて?」
娘さん「…」

声だけこちらまで聞こえてくる。僕かな?再び見ると娘さんがハンディタイプの扇風機を顔にあてながら笑顔でこっちを見てくれている…。可愛いねって笑顔になっていた。

娘さん「可愛いねってー。ウフフッ」
母親に伝えていた。

母親「ほれみぃーさっ。悪さされたやろ?」
娘さん「ウフフッ」

ベンチに居るだけでダメなんじゃん…。

旦那さんが両手に荷物を抱えて合流。娘さんが座る助手席に。バックドアを開けながら作業している妻に目もくれず。

娘さん「知らない人に、悪さされました…」
旦那さん「な、なにされたっ?」
母親「私しも、悪さされました…」

娘さん「いいのっ」
旦那さん「誰にやっ?」
母親「私はどうでもいいんや…」

娘さん「ベンチに座ってる人に、可愛いねって…」
旦那さん「それやったらええよ」

母親「私の話しは聞いてくれへん…」
旦那さん「なんかようかっ?」
作業する妻に笑顔で近寄る旦那さん。嬉しそう。

店員さん「明日も、明後日も。朝早いので帰りますっ♪」
こんな時間に…。いやいや、仕事あるから…。あー。女子高生か。

笑顔の店員さんに「まぁ、可愛いっすけどね?」ってなりながら、所在不明の女子高生気取りはちょっと…。所在してたら所在してたで、怖い上に、犯罪者一歩手前…それなぁー。

僕「あ、ありがとうございます…」
アルバイトさん「フフフッ。二十歳なので大丈夫ですっ♪」
知ってますけどー?のそれは。もぅ。彼氏作れば良いじゃん?を通り越して。

僕「何時になったら結婚してくれるんですか?」
店員さんとアルバイトさん「キャハハ」

店員さんとアルバイトさん「日曜日は休みですっ♪」
僕「お疲れ様でした」
営業日をややこしくするなよ。
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