占い

文字数 1,090文字

 4月17日土曜日、占いの予約を入れた。師事するれっきとした鑑定士だが、今回の相談内容は占いに掛けるようなことではない。

 当日の朝、雨であった。私は無類の傘嫌いである。傘は雨に濡れないために差してるのではなく、濡れない目的は「人と会ってビショ濡れです」とならないために差しているのだと思っている。
 0.5ミリの雨なのでさあ出掛けてしまえお前さんと、約束の時間より7時間くらい前に出ただろうか。傘を差さずにバス停まで行き、仙台駅東口のカラオケ店に早乗りしていた。カラオケの素晴らしさは別項目で語っている通りだ。

 さて、カラオケから出た私は占い師の元へ向かう。その前に本屋に寄ったが本を買うつもりは無かった。何かあるだろうかと、半分冷やかしである。また占いの本を見つけたが、わが家には一体いくつの占い本があるのだと却下し、近くの花屋へ行った。

 なかなかに可愛らしい花束がある。私はすぐに880円の花束に目がいった。それ以外着目する花は無い。花を選んで包んで貰うことも出来るが、そのセンスがあればと思う。

 約束の時間、私はいつも早くに着いている。定食屋、飲み屋などの雑居ビルの通路で時間を待ち、いざ行かん。店に入るとお待ちしておりましたと、仙台の母が仰る。私は花束を差し出した。先生はThe 御札 というおふだを私に下さった。布製で赤地に金色の字で福と書かれた下に、何やら呪文らしきものが書かれている。

 さて、着席しいつも通り尋ねられる。
「お聞きになりたいことは」と。
 私は風呂嫌いはどうしたら直るのかという、まさに占いが全く通用しないような質問をした。すぐさま仰った。
「お客様にとってそれはあまり重要じゃないためです」と。「そうなんですか!?」と他人事のように驚く姿は滑稽だ。風呂に入るのが重要じゃない人間が居るとは思っていなかった。

 つまり、今日は雨なのに傘を持ってきていない自分に照らし合わせると合致した。

次の質問は「食べるのが嫌いなのです。食べてますが。どうしたらいいでしょうか」というもの。先生はこう仰る「栄養補給的に思ってしまうのだから、それも仕方ない。固形物も栄養。ただ、歳を重ねると生きた命を食べたくなりますよ」と。なるほど、食に怠惰(たいだ)でも少しは生ものを食べた方がいいそうだ。

この2点が今回の主たる質問内容だった。何故この質問をこの先生に問うか。それは私の性質を理解しているからだ。他にも理解者がいるが、根本的に考えた場合は先生に頼る。

しかし、傘を差すことが嫌いなところまでは聞くことは無かった。当たるも八卦当たらなくも八卦。なら、占わぬなら人の話は何掛けなんだろうか。
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