賢者

文字数 631文字

 夜な夜な、如何(いかが)わしいモノを閲覧してみる。ダメだ。私は賢者にはなれない。『賢者タイム』というやつである。賢者ソクラテスは禁欲をしていただろうか。私は昼間にカーテンを閉めて賢者タイムを味わう。そういったアニマルだ。昼間の繁忙期は男磨きだ。そう決めている。不労者の特権。この権力は何物にも置き換え難い。しかし、無能な権力だ。

 労働こそ価値を決めるのか。アダム・スミスよ。ではこの労力こそ、労働に替わる価値ではないか。何も生産していない労力なので、淘汰(とうた)されるであろう。人間、独りよがりとして慎むべきエチケットを遂行する姿は、時として賛美に当たる。

 今や、金や権力では労働は買えなくなってきているのだ。優しさこそ権力である。しかし蔓延 《まんえん》した病がある。「優しさ」「思いやり」この言葉だけ崇高されている思考だ。言葉に表しても、具体的行動に現しても、それは空虚なものだ。と、云うのも伝わっていない、むしろ邪魔者扱いされる。こういった現代病こそ「思いやり病」だ。「してやった」「あなたのため」これは人間関係において自らが見えない騙され方だ。これを思いやり病と呼ぶ。

 少々堅いので崩そう。独りよがりこそ価値だ。欲求に従い、病的なほど打ち込めることはあるのか。寝食を忘れ、金も名誉も価値も求めない。これが真価だ。しかし、これらは全く世の役に立たない。「思いやり病」の罠にハマる前に真価を求めよ老若男女。快楽を見つけよ。

 もう一度言おう。これらは全く世の役に立たない。
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