蜘蛛の糸

文字数 760文字

朝9時起床。

 ダルい、とにかくダルい。胃がもたれてる。休みの日というのに何だこの気だるさは。昨日の入眠前、ポテチを3袋も食べた。あいつか、あのポテチめ。もう今日はあんなもの食わない。
 12月26日、今週は最高気温10℃という話を聞いた。部屋には暑い程の陽光が入っている。2019年式のエアコンが唯一我が家にある暖房器具だ。部屋の気温を感知し、勝手に動きを止めた。寝る前にポテチを3袋食べて体調を崩している私に比べて、なんと有能であることか。朝の儀式として、外に出て煙草(たばこ)をくわえる。風が寒い。
 師走の外に出れば、それは陽射しが強くとも幾分か寒い。家には猫がいるので、この有害スモッグを吸わせてはならない。
 事を済ませて部屋に戻ると、なんという部屋の温かさだ。布団に入り込む。なんという包容感だ。

  だが、このダルさは治まらない。眠ろうとしても寝れない陽射しの強さに、レースカーテンを閉めた。卑猥なものを閲覧し、高揚するも一時の快楽。
 またベランダに出て煙草を吸う。寒さに耐えながらニコチンの快楽を味わっているのか、ただ寒さに耐えているのか分からなくなる。

  今日は17時に大事な取り引き先と話がある。家賃支払いに銀行へも行かなくてはならない。しかし、この体では何も出来る確信が持てない。西日が指す頃には、体は回復してるはず。
 だが、ここまで具合いが悪いと何にも取っつけようがない。

 取り引き先からメールが入った。私の不調を察してか、来週にしてもいいと仰る。
 神か仏か。それに甘えることにした。何しろ、私のテリトリーは今、トイレとベランダくらいのものである。

 お昼頃悶えている私に、神か仏は「蜘蛛の糸」を垂らした。私は蜘蛛は殺さない。カンダタになれる。
 しかし、約束の日はカンダタにならないように、ポテチを恨んでおこう。
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