遣隋使

文字数 721文字

 今日の目覚めは最悪であった。

 腹が具合悪い。変なものばかり食べているからだ。
 令和三年三月三日のことである。今後はこの「三」のつく日に気をつけるべし。

 この晴れた日、銀行へ送金に行こうと決めていた。ヤボ用である。近い場所こそ面倒だ。朝のゴミ捨てなどが、その最たる例である。

 面倒が面倒に輪をかけて、芋づる式になった今日である。いやだ、行きたくない。特段急ぎではないのだ。不要不急の外出は避けましょう。

 着の身着のまま私は支度(したく)をし、腹が重たいまま千鳥足で家を出た。この芋を、次の芋に繋げてはならない。小野妹子(おののいもこ)は芋を連想させるが、それは今は関係ない。

 私は七十七銀行と、ゆうちょ銀行に派遣された遣隋使(けんずいし)。晴れやかな空は、雷をともなう暴風雨に感じる。

 七十七銀行の薄い通帳とやらの書物を、ゆうちょ銀行という、これまた薄い書物に「えーてぃーえむ」という謎の機械に入れて記帳する。

 送金も終わり、帰りに食い物を買いたかった。腹部の不調はこの超悪天候の意味を指すのだから、やむなし、それはできない。

 ボロ雑巾の私は家に着いた。この後、更に用事があるのだ。布団に潜りこむ。いやだ、今日は体調不良なので日を改めてもらいたい。(いな)

 まず軽く掃除をした。動け動け。動きを止めるな。何しろ今日は若い女性の遣隋使が家にやってくる。小野妹子に顔は似てない。小野妹子のために私は部屋を掃除しない。
 入湯する。どっぷり汚染された体を、湯に漬けて脂を搾り取る。このお湯は除草剤になりそうだ。取っておこう。

 もう暫くの間、私は部屋を徹底的に掃除した。湯上りの体は眠い。女性の遣隋使を家に通すため、徹底的に玉座から猫の毛を落とす。クイックルワイパーでフィニッシュ。ぐっどらっく。
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