1個の悩み

文字数 943文字

 今日は取引先が家庭訪問してくださった。家庭訪問と言っても、我が家は単身世帯だ。こんな話をした。私は人に依存しなくなってしまった故、ロールモデルの存在が身近に居ない。依存するほどのロールモデルこそ私の行動意欲を掻き立てるもので、労働意欲も掻き立てる。それが、存在しない事に空虚感を感じる。

 取り引き先は、それは良いことであると言うのだ。依存するほどの憧れが欲しいのに、依存する事自体が悩みの原因となると言いたいのかもしれない。確かに依存は困る。しかし、依存が無ければ、私の情熱は失われるのだ。

 ブッダは、「好きで好きでたまらない相手を作らないように」と説いている。その相手を失ったときの喪失感が計り知れないためだからだそうだ。だが納得がいかない。

 別の悩みも取り引き先に話した。私は人との約束を重要としていない、ということだ。契約も守らないところがある。これは問題だと取り引き先は仰る。その一方で、グレーゾーンは必要と言うので話が分からない方へ行ってしまった。

「かくあるべし」という日本は、他国と比べ変わった文化だと思う。これは人間1個の悩みとして葛藤していると思うのだ。好きにさせてよね、という価値と格闘するためだ。

 人間は複数の問題を抱える中で、1個の悩みしか考えられない脳を持っている。「お金が足りない」と「人から口うるさく言われる」が同時並行して「辞めたい」になったとしよう。
 しかし、脳は「お金が足りない」に悩んでいる瞬間というは、お金の事を考えている。その前か後に「人から口うるさく言われる」に悩んでいる。同時並行では悩んでない、というより同時に2つを思考していない事に気付いているだろうか。お金が有れば、口うるさく言われる仕事を辞める事が出来るかもしれない。しかし「口うるさく言われる」という問題を解決したかというと、同じケースが起こった場合に対応できない。1個の悩みとして残していたからだ。

 このように悩みが乱立すると紐付けされているように見えるが、時間で示すと1個しか考えられないように出来ている。108の悩みを抱えても、思考できるのは時間に対して1個だ。

 ここに対してオチをつけれなかった1個の悩みが出来た。好きにさせてよね。そのとき考える、それでよい、また会おう。
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