淫魔

文字数 444文字

私はその日、職場に初めて上着を羽織って通勤した。恐竜絶滅の説は幾つかあるらしい。今年の仙台の冬は恐竜が絶滅するほどの氷河期だ。
 幾ら羽織ったところで、寒気が衣服を貫通して刺激してくる。
 今まで寒くとも、上着を持って行かなかった。上着を忘れて家路に向かってしまうからだ。案の定、上着を職場に忘れて、凍てつく帰り道を、自転車で駆け抜けた。
 ところで「案の定」という姓があっても不思議では無い気がする。青森には「我慢」という姓が実在する。案の定さんと、我慢さんが二人並べば「案の定我慢」というクラスメイトとして親しまれるのではなかろうか。

 昨日、私は淫魔と大戦争をしていた。個人の中の戦いである。今まで禁じていた行為が崩壊。西も東も大パニック。四十九日の法要。禁欲の国会解散。ダム崩壊。

 何が原因かは記さないでおくが、体調不良時こそ、この大戦争は激化する。ここまでの戦争が解散した後、私の中は世界恐慌になる。
 そうして歴史は英雄を生み出してきた。

 好景気こそ、その場の快楽でしかない。
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