第24話 風邪

文字数 1,432文字

 夏風邪を引いている。
 汗をやたらとかく。Tシャツがすぐびしょびしょになる。着替えがなくなり、洗濯をしなければならなくなる。
 暑い。
 タタミの上に、何やら緑色のカビのようなものがある。拭いても、二、三日でまた出てくる。これは何なのだろうか。
 テレビをつける。新内閣発足。
 街頭インタビュー。
「景気を良くしてほしい」
 合言葉のように言っている。
 政治というものは、そんなに世の中を変えられるものなのだろうか。
 不景気、不景気といわれているが、一体何が不景気なのだろうか。
 新聞の折り込み広告は、求人募集がけっこうある。職種はなんであれ、働けばお金はもらえるだろう。
 時給六百円だって、八時間働けば、四千八百円になる。二十日働けば、九万六千円にもなる。残業をすれば、十万を超えるときもあるかもしれない。
 お金がない人は、一日三食を二食にするとか、土曜日は一食に近い状態で生きてみるといいかもしれない。(たまに私はそうしている)
 だいたい、誰が一日三食、睡眠は八時間、などと決めたのだろうか。
 働きたくない人には、不景気というのは好都合ではないだろうか。仕事がないのだから、自分の好きなことをして腕を磨き、その腕で生活していけるよう、頑張ればいい。窮鼠は猫だって噛める。不景気は、自分を磨く絶好のチャンスだ。

 テレビを消す。
 人が政治に期待しているあいだは、この国、ダメなんじゃないかと思ってしまう。
 いつか新聞で、ある国王の話を読んだ。
 夜な夜な、平民を装って、
「今の世の中、どうですか」
 と、民に聞いてまわるのだ。
 ある民が、
「私は自分のことをやっているだけで、世の中のことはよく分からない」
 と答える。
 これを聞いて国王は、自身の為政は民に平和をもたらしている、と確信を得るのだそうだ。
 いい話だと思った。為政者と民のスタンスは、こんなもんでいいんじゃなかろうか。
 政治家たちによって安易に変えられてしまう「世の中」など、危ないような気がする。

 世の中、か…。
 世の中つながりで、先日、新聞の投書欄に、拙文、載りました。カタイ内容でしたが、要約すると、
「毎年、総理の靖国参拝が問題になる。
 戦争で亡くなった一般市民とともに、その戦争を指揮した為政者たちも靖国に祀られている事実が、この問題を根深くさせている。
 仮に中国が日本を侵略し、私たちの祖父母や両親が中国軍に殺されたとする。その軍の指導者たちが祀られている場に、中国政府の要人が参拝に行く光景を、私たちは穏やかな気持ちで見ることができるだろうか。
 国のために命を賭した兵士たちを、英霊として崇めたい思いもあるだろうが、彼らは、紛れもない戦争の犠牲者である。二度と繰り返さない、という心をこめての参拝なら、戦犯の眠っていない場所でするのが筋であり、隣国への思いやりではないのか。
 しかし党内には靖国参拝推進の動きさえあるという。毎年繰り返される靖国問題を、ああ、またかと国民に思わせ、関心が薄らぐのを待っているのでは、と勘繰ってしまう。
 国のうやむやさにごまかされることなく、戦争の悲惨さだけは、後の世代に伝えるべく心に刻んでいきたい。」
 という感じです。
 世の中って、何なんでしょうね。そのうち、こんな毎年繰り返されることにも、慣れてしまうのか… もし戦争が起きても、起こり続けることに慣れてしまうのか… 蒸し暑い日々が続きますが、バテずに、やっていきましょう。ゴールデンウィークは、ありがとうございました。
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