第95話 欲しくなる
文字数 2,784文字
俺達はお菓子を食べ終わり、2階に移動してゲームで遊ぶことにした。
さすがにバスローブでボーリングはないと思い、ジャージの上下を人数分『創生魔法』で創ってみんなに着てもらった。
「エリアス様。こ、この着心地の良い服は何ですの?」
「はい、オルエッタさん。これはジャージと言いまして、家などでくつろぎたい時に着るものです」
「ジャージというのですか!本当に着やすいですね、これはお幾ら…「はい、商談はこのアリッサが後でまとめてお伺いいたします」
みんなボーリングで楽しそうに遊んでいる。
人と競い合いながら、遊ぶ物なんて今までなかったそうだ。
そしてゴブリン叩きゲーム、ベアベアパニックで各自遊んでいる。
「あの~、エリアス様。お伺いしたいことがございます」
「なんでしょうか、オルエッタさん」
「パジャマとタオルケットは頂けないのでしょうか?」
「パジャマとタオルケット?」
「先日、主人がこちらにお伺いした際に頂いてきたと、とても自慢しております」
「オルエッタさん。それはなにかしら?」
キャシー子爵夫人聞いてくる。
「はい、寝るときに着る上下の綿の服でとても着やすいと。タオルケットは掛布団の様なもので、軽くて肌触りが良くとても暖かいと言っておりました」
「まあ、それは良いですね。私 達には頂けないのかしら?」
う~ん。
この前は人数も多く洗うのが面倒なので、アイザックさん達にあげたけど…。
今回もそれをやるとまた、アリッサさんに怒られそうだな。
「この前は泊りだったので、差し上げたのです」
「えっ?!エリアス様、私 達に泊って行けと…」
「へ?」
「泊って行くことが交換条件だなんて…、なんと酷 なことをおっしゃるの」
「はい?」
「しかも奥様のアリッサさん達が居る前で、既婚者である私 達に泊って行けと言われるのですね?」
「あの~」
「私 には10歳になる孫がおります。そんな年齢の女性がお好きだったとは。エリアス様は干し柿世代がお好きなのですね。わ、わかりました。お時間を頂ければ主人と別れて、この私 の第二の人生をエリアス様に捧げましょう。さっそく今夜、主人に話をして…「パコ~~~~ン!!」
小気味よい、アリッサさんのハリセンの音が部屋に響く。
「な、なにをなさるのですか?アリッサさん」
「キャシー子爵夫人、ご自分が何を言っているのかお判りでしょうか?」
「え?」
見るとキャシー子爵夫人付きの侍女は、ジト目でキャシー子爵夫人を見ている。
もう誰もハリセンで叩いたことに、触れようとしない。
「な。私 は何を言っていたのでしょうか?お恥ずかしい」
キャシー子爵夫人も、自分がおかしいことを言っていたことに気づいたようだ。
この世界の女性は、ツッコミを待っている大阪気質な人達が多いのか?
「では今着ているジャージは、差し上げますのでお持ち帰りください」
「 えっ?!頂けるのですか!! 」
その場に居る全員が驚く。
「先日、見えた方に差し上げたのはパジャマとタオルケットだけです。今回は手ぬぐい、タオルと、バスローブとジャージですから。それで我慢してください」
「4点も頂けたのですね。分かりました、ありがとうございます」
オルエッタさんが代表して、嬉しそうに言う。
お付きの人や侍女も、自分達ももらえたのでとても喜んでいる。
楽しい時間はあっという間に過ぎ15時になった。
迎えの馬車がやって来た。
アリッサさん、オルエッタさん、キャシー子爵夫人、タニア伯爵夫人が何やら話があるとかでそれぞれの侍女を馬車に帰し、本館の客室で何かを話していた。
そして3人は帰り際に、また来ますわね、と言っていた。
また来るの?
お友達と一緒に、と小さい声が聞こえたけど…。
気のせい?
「みんな帰ったわね」
「そうですね、アリッサさん。みなさんと何を話していたのですか?」
「注文を受けていたのよ」
「注文?」
「えぇ、紅茶、緑茶、ウーロン茶、鉄の急須 、白いティーカップセット、ドライヤー、特にシャンプーとボディソープは欲しいと言っていたわよ」
「そ、そうですか」
「でも値段によって考えるみたい。とりあえずアバンス商会に卸すことになったわ」
「分かりました」
「水を綺麗にする小型の浄水器?と言うのも作れるのよね?」
「えぇ、まあ…」
「それも欲しいって!!」
「はぁ~、それで納品はどうするのですか?」
「個別に納品は面倒になるから、アバンス商会に纏めて卸すことにしたわ」
「それが良いですね。お客様直接は面倒ですから」
「あぁ、それからオルエッタさん達が、1人10万ずつ置いて行ったわ」
「お金をですか?」
「私は断ったけど向こうも、無料と言うのも気が引けたのでしょう」
「そうですか」
「相手は仮にも貴族やこの街一番の商会だもの、立場と言うのがあるのでしょうね」
「面倒ですね」
「えぇ、でも付き人や侍女さん達の分は、いらないからと言って断ったわ」
「それでよかったと思います」
「悪いけど早めに納品してほしいそうよ」
「分かりました。『創生魔法』で、すぐにできますから」
俺は言われたものをストレージの中で創った。
浄水器はウォーターサーバーみたいな作りで良いかな。
蛇口の上の部分にろ過材を入れて、その上に水を入れる場所を作る。
井戸からの水を上から入れ、下の蛇口からろ過されて出てくる。
これでいいか。
そろそろ夕食の時間か、『なごみ亭』に行こうかな。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
私の名はキャシー・スタンリー。
これでも子爵夫人よ。
エリアス様は商売上手だわ。
あれだけのお屋敷に見たこともないたくさんの魔道具。
美味しい飲み物や食べ物やカップ。
夢のような空間に包まれる。
みんな誰でも欲しくなるものばかり。
屋敷と言う体験展示会場で1日遊べる。
そしてそれだけで満足できなければ欲しくなる。
最初は『売ってほしい』と言わせる手法なのかと思ったわ。
売物ではないので、こちらからほしいと言えば吹っ掛けられても文句は言えない。
そして欲しいとこちらが言えば、安くしても良いが転売目的で購入する人が出てくると困るので適度な値段にします、とアリッサさんは言っていた。
分かったことは欲しがらせて売る手法ではない事。
アバンス商会を通せば利益が減るのに、直接販売する気はないと言う。
店を構えると人を雇い管理が面倒になる。
そこに経費をかけるなら、卸した方が利益は減るが経費が掛からない。
結局、エリアス様は面倒な事は嫌いだから卸で良いということらしいわ。
だから余計に欲しくなる。
今、我が家にあるお金は、どのくらいあったかしら?
帰ったらさっそく確認しないと。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
読んで頂いてありがとうございます。
物語はまったり、のんびりと進みます。
さすがにバスローブでボーリングはないと思い、ジャージの上下を人数分『創生魔法』で創ってみんなに着てもらった。
「エリアス様。こ、この着心地の良い服は何ですの?」
「はい、オルエッタさん。これはジャージと言いまして、家などでくつろぎたい時に着るものです」
「ジャージというのですか!本当に着やすいですね、これはお幾ら…「はい、商談はこのアリッサが後でまとめてお伺いいたします」
みんなボーリングで楽しそうに遊んでいる。
人と競い合いながら、遊ぶ物なんて今までなかったそうだ。
そしてゴブリン叩きゲーム、ベアベアパニックで各自遊んでいる。
「あの~、エリアス様。お伺いしたいことがございます」
「なんでしょうか、オルエッタさん」
「パジャマとタオルケットは頂けないのでしょうか?」
「パジャマとタオルケット?」
「先日、主人がこちらにお伺いした際に頂いてきたと、とても自慢しております」
「オルエッタさん。それはなにかしら?」
キャシー子爵夫人聞いてくる。
「はい、寝るときに着る上下の綿の服でとても着やすいと。タオルケットは掛布団の様なもので、軽くて肌触りが良くとても暖かいと言っておりました」
「まあ、それは良いですね。
う~ん。
この前は人数も多く洗うのが面倒なので、アイザックさん達にあげたけど…。
今回もそれをやるとまた、アリッサさんに怒られそうだな。
「この前は泊りだったので、差し上げたのです」
「えっ?!エリアス様、
「へ?」
「泊って行くことが交換条件だなんて…、なんと
「はい?」
「しかも奥様のアリッサさん達が居る前で、既婚者である
「あの~」
「
小気味よい、アリッサさんのハリセンの音が部屋に響く。
「な、なにをなさるのですか?アリッサさん」
「キャシー子爵夫人、ご自分が何を言っているのかお判りでしょうか?」
「え?」
見るとキャシー子爵夫人付きの侍女は、ジト目でキャシー子爵夫人を見ている。
もう誰もハリセンで叩いたことに、触れようとしない。
「な。
キャシー子爵夫人も、自分がおかしいことを言っていたことに気づいたようだ。
この世界の女性は、ツッコミを待っている大阪気質な人達が多いのか?
「では今着ているジャージは、差し上げますのでお持ち帰りください」
「 えっ?!頂けるのですか!! 」
その場に居る全員が驚く。
「先日、見えた方に差し上げたのはパジャマとタオルケットだけです。今回は手ぬぐい、タオルと、バスローブとジャージですから。それで我慢してください」
「4点も頂けたのですね。分かりました、ありがとうございます」
オルエッタさんが代表して、嬉しそうに言う。
お付きの人や侍女も、自分達ももらえたのでとても喜んでいる。
楽しい時間はあっという間に過ぎ15時になった。
迎えの馬車がやって来た。
アリッサさん、オルエッタさん、キャシー子爵夫人、タニア伯爵夫人が何やら話があるとかでそれぞれの侍女を馬車に帰し、本館の客室で何かを話していた。
そして3人は帰り際に、また来ますわね、と言っていた。
また来るの?
お友達と一緒に、と小さい声が聞こえたけど…。
気のせい?
「みんな帰ったわね」
「そうですね、アリッサさん。みなさんと何を話していたのですか?」
「注文を受けていたのよ」
「注文?」
「えぇ、紅茶、緑茶、ウーロン茶、鉄の
「そ、そうですか」
「でも値段によって考えるみたい。とりあえずアバンス商会に卸すことになったわ」
「分かりました」
「水を綺麗にする小型の浄水器?と言うのも作れるのよね?」
「えぇ、まあ…」
「それも欲しいって!!」
「はぁ~、それで納品はどうするのですか?」
「個別に納品は面倒になるから、アバンス商会に纏めて卸すことにしたわ」
「それが良いですね。お客様直接は面倒ですから」
「あぁ、それからオルエッタさん達が、1人10万ずつ置いて行ったわ」
「お金をですか?」
「私は断ったけど向こうも、無料と言うのも気が引けたのでしょう」
「そうですか」
「相手は仮にも貴族やこの街一番の商会だもの、立場と言うのがあるのでしょうね」
「面倒ですね」
「えぇ、でも付き人や侍女さん達の分は、いらないからと言って断ったわ」
「それでよかったと思います」
「悪いけど早めに納品してほしいそうよ」
「分かりました。『創生魔法』で、すぐにできますから」
俺は言われたものをストレージの中で創った。
浄水器はウォーターサーバーみたいな作りで良いかな。
蛇口の上の部分にろ過材を入れて、その上に水を入れる場所を作る。
井戸からの水を上から入れ、下の蛇口からろ過されて出てくる。
これでいいか。
そろそろ夕食の時間か、『なごみ亭』に行こうかな。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
私の名はキャシー・スタンリー。
これでも子爵夫人よ。
エリアス様は商売上手だわ。
あれだけのお屋敷に見たこともないたくさんの魔道具。
美味しい飲み物や食べ物やカップ。
夢のような空間に包まれる。
みんな誰でも欲しくなるものばかり。
屋敷と言う体験展示会場で1日遊べる。
そしてそれだけで満足できなければ欲しくなる。
最初は『売ってほしい』と言わせる手法なのかと思ったわ。
売物ではないので、こちらからほしいと言えば吹っ掛けられても文句は言えない。
そして欲しいとこちらが言えば、安くしても良いが転売目的で購入する人が出てくると困るので適度な値段にします、とアリッサさんは言っていた。
分かったことは欲しがらせて売る手法ではない事。
アバンス商会を通せば利益が減るのに、直接販売する気はないと言う。
店を構えると人を雇い管理が面倒になる。
そこに経費をかけるなら、卸した方が利益は減るが経費が掛からない。
結局、エリアス様は面倒な事は嫌いだから卸で良いということらしいわ。
だから余計に欲しくなる。
今、我が家にあるお金は、どのくらいあったかしら?
帰ったらさっそく確認しないと。
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読んで頂いてありがとうございます。
物語はまったり、のんびりと進みます。