その14 ホレーシオという生き方

文字数 997文字

ホレーシオ殴るとかもう。。。
やりすぎたかな。ホレーシオもハムレットの一部なのかなと思って。
やりすぎじゃないよ。わかりすぎて痛い。
そう?(嬉)
私も職場で、しらじらしい会議がイヤすぎて、終わったら手のひらに自分の爪がくいこんだ痕があったりする。だからあのあたりは自画像。
そうなんだ。
うん。まあ、自分の中にないものは書けないから。書いても嘘になるから。自分の中から引き出して、それを広げていくしかない。
それ考えると、善人から悪人まで全部入ってるシェイクスピアって、本当どんな人だったんだろうね。
ね。
とにかくハムレット、原作でも、過剰な人だよね。
そうそれ。
原作だと怒涛のような台詞で、わーっとその過剰を表に出すわけだけど。自分が言ってることで自分にドライブがかかって、どんどん止められなくなっていく感じ。
そうそれ。それをリアルな次元に転写したらこういう形になるかなと思って。過剰がじっさいの暴力になって。
哀しいやっちゃなーハムレット。。。
でね、そういう人のそばにずっといるならね、ホレーシオはまちがいなく最初にその暴力を受けてるだろうと。周囲への防波堤になってるだろうと。ハムレットの悩みをおとなしくふんふん聞いてるだけじゃすまされないだろうと。
でもこの、ザチョーの書いたホレーシオ、精神的にはハムレットに負けてないんだよね。
うん。やー、わかってくれて嬉しい!
「ちっ」って言うじゃない。「ちっ」てw
そう「ちっ」て。あそこ自分でも気に入ってるんだw
殿下に絶対服従なんだけど、屈服してるわけじゃなくて拮抗してる。むしろハムレットより大人?
心の中では「ちっ」じゃなくて「けっ」くらい思ってるね。「こいつマジやべー」くらいw
苦労人なんだよ。
そうそれ。二重の意味でジェントルマンって設定なの。「紳士」っていうのと、ジェントルマンのもとの意味「郷士」。貴族以下で庶民以上の立ち位置の人。
後ろ盾なにもないのに、才能だけで殿下に大抜擢されて。じつはいま、ホレーシオひそかに出世街道大ばく進中なのよ。絶対失敗できないし、かといって目立っちゃっても足引っぱられる。ハムレットとは別のヒリヒリ感を抱えてる。それを思いついたら、原作の地味な癒し系キャラが、きゅうにエッジ立ってきたの。でも別にすごく違う何かを足したわけじゃないから。
ホレーシオ萌えなのねw
いやむしろ自分がなってみたいの、ホレーシオw
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登場人物紹介

宮﨑稲穂(みやざきいなほ/イナホー)

俳優。シアターユニット・サラ専属。旗揚げから全作品に出演し、現在に至る。名前だけ見て女子と間違われることがあるが、男性。居合道六段、剣号「宮﨑哲舟」(てっしゅう)。


実村文(みむらあや/ザチョー)

劇作家・演出家。ときどき女優。シアターユニット・サラ主宰。NOVEL DAYSでは未村明(ミムラアキラ)名義で執筆。

イナホー

ザチョー

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