その20 「刃引き」

文字数 1,170文字

原作だと、パリにいて事情を知らなかったレアティーズがクローディアスにまるめこまれて、ポローニアスの死もオフィーリアの死もハムレットのせいだと。で、誤解したレアティーズがクローディアスと共謀して、御前試合でハムレットの命をねらうという展開になるわけだけど、、、
この『ノート』だと、どうころんでもレアティーズ、ハムレット殺そうとしそうにないじゃない。
ないね。
困っちゃってさw
困ったんだw ノープランだったの?
いちおうプランは立ててあったんだけど、じっさいに書いていったらうまくいかなかった。レアティーズが誤解するまでの時間経過が長くなりすぎて。
それで一転して、ハム・レアがタグを組んでクロをねらうと。
うん。だってね、小説的に詰めていくと、あの流れでなーんも考えずに御前試合にのぞむハムレットのほうが不思議よw
お気楽なんだよね、原作のハムレットw
そうそう、「なんかイヤな予感がする」みたいなこと言ってるだけで。イヤな予感どころじゃないでしょ、クローディアスの発案だよ。ぜったい裏に何かあると思わないかな、ふつうw
ww
てか、「ハム」「レア」「クロ」ってなんかおいしそう!
ハム。レアチーズ。クロワッサン。。。
おなかすいた?w
えへw
そうそう、「刃引き」っていうの教えてくれてありがとね。
あれでよかった?
うん、たぶんあれで正解と思う。原作の「(なま)らせていないunbated」ってどういう意味なのか、訳も注もいろいろ違ってすごく困ってたのね。「先止めをしていない」っていう説明がけっこうあるけど、そのサキドメって何?という。革の小さいカバーを切っ先につけるなんて書いてあって、調べるんだけどそんな絵ぜんぜん出てこない。ローレンス・オリヴィエ卿の映画だと何かまるいボタンみたいのがついてたけど。
なんとなく、剣先に何か付けるのは違うと思った。自信はないけど。

イナホー刀つかうからね。(注:宮﨑は居合道六段です)

何か剣先に付けてあると邪魔じゃない? 映像だとひと目でわかる効果があるけど、じっさいに振ったら振りにくくないかな? カバーなんてすっぽ抜けて飛んだりしないかな?

だいたい、かっこわるい。
ww
日本刀だと「刃引き」といって、刃をつぶしておくので。
西洋剣も根本は同じと思ったのよね、けっきょく刀剣だから。だけど「刃引き」という言葉そのものを本文に入れようとしたら、イナホーに止められたw
ほら、日本ぽくなりすぎるとイヤだから。
例の「尼寺」問題ね。(※「その8」に出てきます)
そうそう。
こういう、具体的なところいちいち詰めなきゃと思うのは、私たちがじっさいに舞台を作る人間だからよね。翻訳の段階ではっきりイメージされてないと、けっきょく現場が悩む。
(悩むのおれだけどね。。。作り物いつもおれに丸投げじゃん。。。)
ん、何?
なんでもありましぇん。
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登場人物紹介

宮﨑稲穂(みやざきいなほ/イナホー)

俳優。シアターユニット・サラ専属。旗揚げから全作品に出演し、現在に至る。名前だけ見て女子と間違われることがあるが、男性。居合道六段、剣号「宮﨑哲舟」(てっしゅう)。


実村文(みむらあや/ザチョー)

劇作家・演出家。ときどき女優。シアターユニット・サラ主宰。NOVEL DAYSでは未村明(ミムラアキラ)名義で執筆。

イナホー

ザチョー

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