怪物

文字数 308文字

怪物は気遣いを知り
優しさを裏へ返すように
無言になる

僕は無言という気遣いを感じた

どれだけの試練を
どれだけの重荷を背負えば
怪物になれるのだろう

困難に出会い 荒波にもまれ
十字架のまえ ため息の涙を流した怪物
誰も知らない 誰にも知りえない

一昔前、怪物の父は津波にさらわれた

どれだけ悩み 苦しめば
紆余曲折を経れば
どんな坂道を登れば
怪物のように優しくなり得るのだろう

ある日、怪物は怪物と対峙した
もう一方の怪物は荒くれ顔
でも怪物同様に優しい眼をしていた

怪物はすべてストレートで勝負
4球目左方向へ流された
怪物は悔しさを押し殺すように
ヒストリーの風をみた

怪物の右手にウイニングボール
「両親にプレゼントします」

怪物の神話が始まった

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