稲木干し

文字数 213文字

時の空の彼方 ヒガンバナ消えた
いにしえからやって来た鶴の稲落し
稲刈りが始まった

秋の雲はエレジー 秋の風はバラード
黄金色の稲穂の匂い コンバインがいく

風に揺れるまもなく 有無を言わさず
刈り取られた稲穂 あとは柿たわわ

かたや刈株は律義に行列 
稲木干し 人 人 人 

黄色を刈り取った断片
その稲穂から「実りの秋や」と
母の声が聞こえる

ミトコンドリア・イブ
その遺伝子の旅さなか

「いただきます」
「お百姓さんのお陰や」と
祖母の声が聞こえゆく
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