第36話
文字数 1,490文字
三十分後。
ステージの上には、満足げに優勝トロフィーを掲げた
彼らは鳴りやまぬブーイングの中、誇らしげに手を振っている。
結局あの後、萌恵も立て続けに殺られてしまったのだ。
観客席の後ろで、気のない拍手を送る小村崎高校ゲーム部員たち。
となりで脹れている萌恵は、横目で僕を見ながら言った。
「あのね。余計なことしないでって言ったわよね。私はスナイパーのこと、ちゃんと把握していたのよ! それにバックガードを装備していたから、弾を喰らったとしても全然平気だったの。もう少しで勝てそうだったのに、あなたが余計なことをするから、調子が狂っちゃったじゃないの!!」
つまり僕のしたことは、まったくの無駄骨だったということだ。
――最悪! 僕はヒーローにでもなったつもりだったのか? 余計なことをやらかしたおかげで、勝利を逃してしまったじゃないか! バカバカバカ!! 死ね! 死んでしまえ、僕!!
元々補欠要因としての参加だったのだから、最初から期待されていなかったとはいえ、まさかこんな結末を迎えるとは思ってもみなかった。
当然、メンバーたちからのお仕置きが待っているかと思いきや――。
「まあ、初めてにしては上出来だったんじゃないの?」海荷は平然と言いのける。
杏奈も怒るどころか、むしろ、ホッとしたように顔をほころばせていた。
「そ、そうですよね。風見君がいなければ、た、大会にすら出られなかったわけですし」
「そうそう、海荷のパンティー目当てだとしてもね」突き刺すような視線が、僕の顔面を直撃する。
――だから違うんだってば!
思い返してみると、今日の海荷は一度もパンティーを脱がなかった。
一瞬、僕だけが気づかなかったのかと想像したが、よくよく考えてみれば、もし脱いだとすれば会場中が大騒ぎになるのは間違いない。
では、さすがに公衆の面前では、控えざるを得なかったのだろうか? だが、彼女はそんなタイプではない。たぶんだけど。
恐る恐る尋ねてみると、なんと今日のような大会の日は、最初から履いていないことが判明した。
ゲゲっ! まさかずっとノーパンだったのか! ということは今も……?
思わず海荷のスカートに目をやった。ノーパンだと思うと、つい興奮してしまう。
「残念でした、もう履いてるわよ! ……分かっているでしょうケド、絶対言わないでよ! もし誰かに一言でも喋ったら……」
ツインテールの目がギラリと光る。
言うワケねーだろ! 僕だってもう少し長生きしたいんだから。
「…………ふん!」麻利絵は呆れながらも、満足げな表情をしている。どうやら制裁は免れたようだ。
最後にこずえが言葉を吐いた。
「今回はあくまでも様子見です。わたくしたちの本番は夏のゲームフェスタよ。肩慣らしにはちょうど良かったわ」
夏のフェスタ? まさかと思うが……!
「それまでには徹底的に鍛え上げましょう! 覚悟はいいわね? 風見君!!」
――もう勘弁してくれ! 僕には無理だって!! 助けてよ高田先生! ……っていないじゃないか! まさか帰りやがったな、あのヤロウ!!
独りしょぼくれながら出口に向かうと、帰りゆく観客たちの中に、彩乃を見つけた。その隣には両親も一緒で、反対するそぶりを見せながらも、なんだかんだと心配してくれていたようだった。
僕は敢えて声をかけず、気づかないふりをしながら、バス停へ足を向ける。
そういえば、あれっきり宮川の姿が見当たらなかった。
もしかしたらナンパした女性と、どこかにシケこんでいるかもしれない。僕には関係のないことだし、これ以上気にも留めなかった。
ステージの上には、満足げに優勝トロフィーを掲げた
沼平西高校
のチームがあった。彼らは鳴りやまぬブーイングの中、誇らしげに手を振っている。
結局あの後、萌恵も立て続けに殺られてしまったのだ。
観客席の後ろで、気のない拍手を送る小村崎高校ゲーム部員たち。
となりで脹れている萌恵は、横目で僕を見ながら言った。
「あのね。余計なことしないでって言ったわよね。私はスナイパーのこと、ちゃんと把握していたのよ! それにバックガードを装備していたから、弾を喰らったとしても全然平気だったの。もう少しで勝てそうだったのに、あなたが余計なことをするから、調子が狂っちゃったじゃないの!!」
つまり僕のしたことは、まったくの無駄骨だったということだ。
――最悪! 僕はヒーローにでもなったつもりだったのか? 余計なことをやらかしたおかげで、勝利を逃してしまったじゃないか! バカバカバカ!! 死ね! 死んでしまえ、僕!!
元々補欠要因としての参加だったのだから、最初から期待されていなかったとはいえ、まさかこんな結末を迎えるとは思ってもみなかった。
当然、メンバーたちからのお仕置きが待っているかと思いきや――。
「まあ、初めてにしては上出来だったんじゃないの?」海荷は平然と言いのける。
杏奈も怒るどころか、むしろ、ホッとしたように顔をほころばせていた。
「そ、そうですよね。風見君がいなければ、た、大会にすら出られなかったわけですし」
「そうそう、海荷のパンティー目当てだとしてもね」突き刺すような視線が、僕の顔面を直撃する。
――だから違うんだってば!
思い返してみると、今日の海荷は一度もパンティーを脱がなかった。
一瞬、僕だけが気づかなかったのかと想像したが、よくよく考えてみれば、もし脱いだとすれば会場中が大騒ぎになるのは間違いない。
では、さすがに公衆の面前では、控えざるを得なかったのだろうか? だが、彼女はそんなタイプではない。たぶんだけど。
恐る恐る尋ねてみると、なんと今日のような大会の日は、最初から履いていないことが判明した。
ゲゲっ! まさかずっとノーパンだったのか! ということは今も……?
思わず海荷のスカートに目をやった。ノーパンだと思うと、つい興奮してしまう。
「残念でした、もう履いてるわよ! ……分かっているでしょうケド、絶対言わないでよ! もし誰かに一言でも喋ったら……」
ツインテールの目がギラリと光る。
言うワケねーだろ! 僕だってもう少し長生きしたいんだから。
「…………ふん!」麻利絵は呆れながらも、満足げな表情をしている。どうやら制裁は免れたようだ。
最後にこずえが言葉を吐いた。
「今回はあくまでも様子見です。わたくしたちの本番は夏のゲームフェスタよ。肩慣らしにはちょうど良かったわ」
夏のフェスタ? まさかと思うが……!
「それまでには徹底的に鍛え上げましょう! 覚悟はいいわね? 風見君!!」
――もう勘弁してくれ! 僕には無理だって!! 助けてよ高田先生! ……っていないじゃないか! まさか帰りやがったな、あのヤロウ!!
独りしょぼくれながら出口に向かうと、帰りゆく観客たちの中に、彩乃を見つけた。その隣には両親も一緒で、反対するそぶりを見せながらも、なんだかんだと心配してくれていたようだった。
僕は敢えて声をかけず、気づかないふりをしながら、バス停へ足を向ける。
そういえば、あれっきり宮川の姿が見当たらなかった。
もしかしたらナンパした女性と、どこかにシケこんでいるかもしれない。僕には関係のないことだし、これ以上気にも留めなかった。