第32話
文字数 523文字
大会当日。
合宿以来、不穏な関係のまま、小村崎高校ゲーム部はバスに乗って会場に向かった。
そこは県立の多目的ホールで、普段は演劇の公演やバンドのライブが開催されている。
地区大会にエントリーしたのは全部で八校。もちろん沼平西高校も参加していた。
こんな大事な日だというのに、顧問の高田先生は今回も姿を見せない。理由は聞かされていないが、例のオンボロ軽自動車がついにイカれたと、もっぱらの噂だ。
控え室に入り、三橋院こずえの仕切りで準備を進めていると、あの集団が姿を現した。
「やあ、キミたちもエントリーしてたんだね。てっきり辞退するものだと思った」
寺塚龍平の嫌味が耳をかすめた。
「そちらこそ、辞めるなら今ですわよ。何ならわたくしが話をつけてきましょうか?」
こずえ先輩も負けじと言い返した。やはりこの二人からは、因縁めいたものを感じずにはいられない。
しばらく小競り合いが続くと、いよいよ開始時間となった。
イケメン寺塚の連中はそそくさと姿を消すと、僕たちはスタンバイに入る。
ゲーム部のメンバーは丸く円陣を組むと、部長のFカップが掛け声を上げた。
「いいわね。全力で行きますわよ!」
「「「「「「オー!!」」」」」」
僕も円陣の
合宿以来、不穏な関係のまま、小村崎高校ゲーム部はバスに乗って会場に向かった。
そこは県立の多目的ホールで、普段は演劇の公演やバンドのライブが開催されている。
地区大会にエントリーしたのは全部で八校。もちろん沼平西高校も参加していた。
こんな大事な日だというのに、顧問の高田先生は今回も姿を見せない。理由は聞かされていないが、例のオンボロ軽自動車がついにイカれたと、もっぱらの噂だ。
控え室に入り、三橋院こずえの仕切りで準備を進めていると、あの集団が姿を現した。
「やあ、キミたちもエントリーしてたんだね。てっきり辞退するものだと思った」
寺塚龍平の嫌味が耳をかすめた。
「そちらこそ、辞めるなら今ですわよ。何ならわたくしが話をつけてきましょうか?」
こずえ先輩も負けじと言い返した。やはりこの二人からは、因縁めいたものを感じずにはいられない。
しばらく小競り合いが続くと、いよいよ開始時間となった。
イケメン寺塚の連中はそそくさと姿を消すと、僕たちはスタンバイに入る。
ゲーム部のメンバーは丸く円陣を組むと、部長のFカップが掛け声を上げた。
「いいわね。全力で行きますわよ!」
「「「「「「オー!!」」」」」」
僕も円陣の
外
で声を合わせた。