第31話
文字数 1,472文字
それから数日後。
僕は紙袋を持って帰宅すると、自室に入り、ノートパソコンを開いた。
それから紙袋の中から一枚のDVDを取り出し、パソコンにセットする。
紙袋は宮川から渡されたもので、DVDの中身はおすすめのゲームとしか聞かされていない。
シュルシュルとモーターが音を立て、やがてタイトル画面が浮かび上がった。
『暗黒の魔導士と賢者の伝説』
正直、落胆を憶える。
宮川のことだから、ゲームと言ってもてっきりエロ系だとばかり思っていたからだ。
画面の雰囲気から察すると、硬派なRPGの予感がする。
といっても、RPGなんて初めてだから、勝手がわからない。ヘッドホンを装着して、とにかく始めてみようとスペースキーを押してみると、画面が切り替わった。
すると、ひとりの戦士が現れて、独り語りの要領で自己紹介を始めた。
かなり長い説明だったが、要するにこの戦士が伝説の勇者で、世界征服をもくろむ暗黒の魔導士を倒しに行くというストーリーらしい。
しばらく話を進めると、魔法使いが現れた。アニメ調のうら若き少女で、どう見ても中学生にか見えない。
だが、注釈をクリックすると、彼女は十八歳の設定らしい。
会話の流れから、この少女を仲間にしなくてはならないようだ。
そこで画面の下にメッセージが表示された。
『専用コントローラーを接続してください』
専用コントローラーって何だ?
そこで僕は紙袋を漁った。宮川がコントローラーも一緒に入れてあると言っていたことを、思い出したからだ。
案の定、紙袋にはもう一つ、黒のビニールに包まれた、それらしきものが収められている。
ビニールをほどくと、そこには小さなピンクの突起のついた半球状のふくらみが二つ並んでいた。両手にすっぽりと収まるサイズで、どう見てもアレにしか見えない。
「冗談だろ?」
それでもつながないわけにはいかない。せっかく宮川が貸してくれたんだ。彼の親切心を無下にはできない。
僕は
程よい弾力があり、良からぬことを想像せずにはいられない。
期待に胸をふくらませながらゲームを進めると、思った通り、女魔法使いが服を悩まし気に脱ぎだした。
ヘッドホンからは艶めかしい声が鼓膜を揺らし、コントローラーを握る手にも力を込める。
握る強さや突起物を触る度に、少女はつぶさに反応を示す。
やがてここではとても表現できないほどのスゲーことになり、興奮レベルはマックスになった。
ガチャリ!
背後の扉が開いた。
「お兄ちゃん、シャーペン貸し……」
思わず振り向くと、そこには彩乃が茫然と立ち尽くしている。
妹の視線の先には、下品極まりないみだらなポーズの幼い女子。
僕の手には、鷲掴みにしたオッパイ型のコントローラ。
これでは誤解されても仕方がない状況と言えた。いや、まんざら誤解ではないが。
「ち、違う! これは友達から借りたもので……」
コントローラーを放り出し、取り乱しながらパソコンを遮るように立ち上がった。
衝撃でヘッドホンのプラグが外れ、ノートパソコンのスピーカーから、甘ったるい喘ぎ声が大音量で流れ出す。
「…………」
「…………」
時が止まった。
まるでメデューサに睨まれたかのごとく、石になっていると……。
バタン!!
まるで汚物を見るような蔑(さげす)んだ目つきで、彩乃は勢いよく扉を閉めた。
最悪だーーーーーーーーーー!
頭を抱えるしかなかった。
いっそ、一発喰らったほうがまだマシだ。
その日以来、一言も口を利いてもらえなくなったのは、言うまでもない。
僕は紙袋を持って帰宅すると、自室に入り、ノートパソコンを開いた。
それから紙袋の中から一枚のDVDを取り出し、パソコンにセットする。
紙袋は宮川から渡されたもので、DVDの中身はおすすめのゲームとしか聞かされていない。
シュルシュルとモーターが音を立て、やがてタイトル画面が浮かび上がった。
『暗黒の魔導士と賢者の伝説』
正直、落胆を憶える。
宮川のことだから、ゲームと言ってもてっきりエロ系だとばかり思っていたからだ。
画面の雰囲気から察すると、硬派なRPGの予感がする。
といっても、RPGなんて初めてだから、勝手がわからない。ヘッドホンを装着して、とにかく始めてみようとスペースキーを押してみると、画面が切り替わった。
すると、ひとりの戦士が現れて、独り語りの要領で自己紹介を始めた。
かなり長い説明だったが、要するにこの戦士が伝説の勇者で、世界征服をもくろむ暗黒の魔導士を倒しに行くというストーリーらしい。
しばらく話を進めると、魔法使いが現れた。アニメ調のうら若き少女で、どう見ても中学生にか見えない。
だが、注釈をクリックすると、彼女は十八歳の設定らしい。
会話の流れから、この少女を仲間にしなくてはならないようだ。
そこで画面の下にメッセージが表示された。
『専用コントローラーを接続してください』
専用コントローラーって何だ?
そこで僕は紙袋を漁った。宮川がコントローラーも一緒に入れてあると言っていたことを、思い出したからだ。
案の定、紙袋にはもう一つ、黒のビニールに包まれた、それらしきものが収められている。
ビニールをほどくと、そこには小さなピンクの突起のついた半球状のふくらみが二つ並んでいた。両手にすっぽりと収まるサイズで、どう見てもアレにしか見えない。
「冗談だろ?」
それでもつながないわけにはいかない。せっかく宮川が貸してくれたんだ。彼の親切心を無下にはできない。
僕は
嫌々ながら
パソコンに接続して、感触を確かめる。程よい弾力があり、良からぬことを想像せずにはいられない。
期待に胸をふくらませながらゲームを進めると、思った通り、女魔法使いが服を悩まし気に脱ぎだした。
ヘッドホンからは艶めかしい声が鼓膜を揺らし、コントローラーを握る手にも力を込める。
握る強さや突起物を触る度に、少女はつぶさに反応を示す。
やがてここではとても表現できないほどのスゲーことになり、興奮レベルはマックスになった。
ガチャリ!
背後の扉が開いた。
「お兄ちゃん、シャーペン貸し……」
思わず振り向くと、そこには彩乃が茫然と立ち尽くしている。
妹の視線の先には、下品極まりないみだらなポーズの幼い女子。
僕の手には、鷲掴みにしたオッパイ型のコントローラ。
これでは誤解されても仕方がない状況と言えた。いや、まんざら誤解ではないが。
「ち、違う! これは友達から借りたもので……」
コントローラーを放り出し、取り乱しながらパソコンを遮るように立ち上がった。
衝撃でヘッドホンのプラグが外れ、ノートパソコンのスピーカーから、甘ったるい喘ぎ声が大音量で流れ出す。
「…………」
「…………」
時が止まった。
まるでメデューサに睨まれたかのごとく、石になっていると……。
バタン!!
まるで汚物を見るような蔑(さげす)んだ目つきで、彩乃は勢いよく扉を閉めた。
最悪だーーーーーーーーーー!
頭を抱えるしかなかった。
いっそ、一発喰らったほうがまだマシだ。
その日以来、一言も口を利いてもらえなくなったのは、言うまでもない。