第37話 完結
文字数 694文字
愁春の木漏れ陽の中、僕はバス停からの帰り道に、萌恵と並んで歩いていた。
彼女は一言も口を利かず、顔をしかめながら、まっすぐ前を向いている。
せっかく二人きりでいるのだから会話を試みたい。しかし、何を話していいやら、さっぱり浮かばない。
十分ほど無言のまま、ようやく口にした言葉は――、
「……本当にごめん。夏までにはちゃんと練習して、少しでも足手まといにならないように努力するから……」
僕はできるだけ丁寧な口調で話しかける。
だが、耳に入らないのか、萌恵の顔色はくすんだままだ。
「もし、僕に見切りをつけたんだったら、はっきりそう言ってくれないか? 潔く退部するから」
それでもかまわなかった。 所詮ビギナーはビギナーに過ぎず、僕なんかよりもっと実力のある部員をスカウトしたほうが、ゲーム部の……いや、彼女のためになるのは間違いない。
しかし、ゲームの楽しさが、少しだけ分かるようになってきていただけに、悔しい気持ちがないわけではなかった。
萌恵は怒りのこもった口調で言い放つ。
「……それで責任を取ったつもり? 下着の見物料はそんなに安くないわよ!!」
えっ!? それってもしかして……?
「あなたがあれほどバカとは思わなかった。最低! 最悪! もう顔も見たくないわ!」
どっちだよ!
くるりと振り返ると、頬をほんのり赤く染めた萌恵は、口をとがらせながら、蚊の鳴くような声で、ひっそりと呟くように言葉を紡いだ。
「……でも、気持ちはうれしかったわ。……ありがとう。風見君」
天にも昇るような気持ちとなり、僕は心の中でこぶしを空に向かって突き上げる。
これは僕にも、ワンチャンありそうだぜ!!
彼女は一言も口を利かず、顔をしかめながら、まっすぐ前を向いている。
せっかく二人きりでいるのだから会話を試みたい。しかし、何を話していいやら、さっぱり浮かばない。
十分ほど無言のまま、ようやく口にした言葉は――、
「……本当にごめん。夏までにはちゃんと練習して、少しでも足手まといにならないように努力するから……」
僕はできるだけ丁寧な口調で話しかける。
だが、耳に入らないのか、萌恵の顔色はくすんだままだ。
「もし、僕に見切りをつけたんだったら、はっきりそう言ってくれないか? 潔く退部するから」
それでもかまわなかった。 所詮ビギナーはビギナーに過ぎず、僕なんかよりもっと実力のある部員をスカウトしたほうが、ゲーム部の……いや、彼女のためになるのは間違いない。
しかし、ゲームの楽しさが、少しだけ分かるようになってきていただけに、悔しい気持ちがないわけではなかった。
萌恵は怒りのこもった口調で言い放つ。
「……それで責任を取ったつもり? 下着の見物料はそんなに安くないわよ!!」
えっ!? それってもしかして……?
「あなたがあれほどバカとは思わなかった。最低! 最悪! もう顔も見たくないわ!」
どっちだよ!
くるりと振り返ると、頬をほんのり赤く染めた萌恵は、口をとがらせながら、蚊の鳴くような声で、ひっそりと呟くように言葉を紡いだ。
「……でも、気持ちはうれしかったわ。……ありがとう。風見君」
天にも昇るような気持ちとなり、僕は心の中でこぶしを空に向かって突き上げる。
これは僕にも、ワンチャンありそうだぜ!!