第43話 困ったことになってきた！
文字数 1,066文字
新入りは、現場に残されたニオイのもとをついに明かす――。
こ、これは……
さよか！
ほんなら大当たりやないか！
んじゃ妹が見つかるのも時間の問題か
なんでか知らんが、新入りはイマイチ喜びきれてない様子や。
それを見て、親分が問いかける。
なんや、まだなにかあるんかいな？
親分の問いに、新入りはうろたえたような、困ったような、結局いつもと変わらんビビり顔で答えた。
は、はい……。
か、かすかにですが、ほかの猫のニオイもしました……
俺の気のせいじゃなかったようだな
ほかの猫のニオイ！？
それ、どーゆうことですか？
ワイがたずねると、インテリ兄さんが親分に向けて説明をはじめた。
ボスもお気づきのとおり、植え込み周囲には新入りの妹のニオイ以外の猫と思われる臭気が残っています
さきほど調べてみたところ、ニオイの鮮度からいって、ここ数日以内につけられた比較的新しいものでした
しかも数は１匹ではなく、２、３匹……
おそらく妹以外にも複数の猫がいたのだろう
複数の猫てっ……！
そいつら何者なんですか！？
ワイがツッコミを入れると、ヨツバがしおらしい態度でつぶやく。
それまで目を閉じていた親分は、新入りに瞳を据えて問いかけた。
ほとんど外に出たことがねぇ新入り兄妹に、知り合いの猫はいねぇはずだ
そうだろ？ 新入り
は、はい。
全然いないです……
だとすると、オメェの妹は運悪くここで、見ず知らずの猫たちに出くわした可能性がある
ま、まさか――！
断言はできねぇが、可能性は捨てきれねぇな
そ、そんなぁ……！
妹が他の猫たちに襲われたかもしれないだなんて……！
妹の安否が心配で、オロオロしはじめる新入り。
それもそのはずや。
行方不明の新入りの妹・ミネの手がかりが得られたと思ったら、今度は妹のピンチ説浮上やなんて、まさに踏んだり蹴ったりやんか。
こりゃあエライ困ったことになってきたで……！
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