第79話 待ち受けるもの②
文字数 1,628文字
廃工場内に入るや否や、ねこねこファイアー組の罠が発動した。
落下物はよけたが、ミミの様子がおかしい。
ミミは片足を上げ、その裏側を俺に見せる。
ピンク色の肉球から、血が糸を引くようにだらりと垂れていた。
なぜケガをしたのかすぐにはわからなかったが、ミミに近づくと原因はすぐに判明した。
ミミの足元には、彼女の足を傷つけたと思われる物体がいくつも転がっている。
ハッと息を吞み、辺りを見回した。
薄闇にまぎれて、床のところどころに無数の破片が散らばっていた。
ガラス片は砂粒のように細かいものもあれば、
仮に長毛種のように足裏が毛で
俺は天井を見上げた。
屋根は欠けて、見るからにズタボロだ。
その屋根の手前に無数の骨組みがある。鉄骨の横幅は狭いが、建物の端から端まで繋がるほどの長さだ。
さらに金属製の足場もあって、猫が何体か寝転んでも充分なスペースが確保されている。
出血した傷口を舐めつつ、ミミはイラ立たしげに吐き捨てる。
ミミは負傷したとはいえ、いつキレてもおかしくねぇほど元気がありあまってそうだ。
幸い傷は深くないようで、足元のガラス片を注視つつピョコピョコよけながら、俺たちのほうへ寄ってくる。
上は2階というより骨組みだらけの天井だ。
無数のパイプが張り巡らされたカオス空間だが、ねこねこファイアー組のヤツらがそこに潜んでいるのは間違いない。
意見がまとまったところで、ガラクタや棚に跳び乗り上へ登っていく。
足場はちょっと悪いが、俺たち猫にとっちゃ造作もない。
障害物をひょいと跳び越えて、骨組みだらけの天井付近まで来ると、
金属パイプの上にいた見張りらしき猫がさっそく襲いかかってきた。
俺は片腕を振り上げ、向かってくるモブネコに猫パンチを浴びせる。
顔面に直撃を喰らって、相手はもうフラフラだ。
俺の猫パンチは高速で、並みの猫をゆうに
その攻撃を並みの猫がよけきれるわけがない。
モブネコは自分の体を支えきれず、足をすべらせ真っ逆さまに落下していった。
周囲に潜む見えない敵たちに宣言し、俺は一歩前へ歩み出した。
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