第1話 ボス猫は語る
文字数 1,746文字
猫の一日は忙しい。
というのは、嘘だ。
ヒマはある。たんまりある。
なにせ俺たち猫は、眠るために生きているような生き物だ。
毎日よく寝ているから、人に『
いつでも安眠ってわけにはいかねぇが、伸びてよし、丸まってよし、フリースタイルで24時間の半分近くを満喫し、合間にメシを食ったり、毛並みを整えたりする。
そんな俺たちを見て、人間たちは呆れたようにぼやく。
だが、それは物事のほんの側面しか見ていないからいえることだ。
飼い猫ならいざ知らず、野良猫ともなれば危険と隣り合わせの日々にまみれてる。
とはいえ最大の外敵は、やっぱりアイツらだろう。
霊長類のトップに君臨してるからって、なんでも自分らの都合のいいようにやりやがる。
ボス猫はリーダーにふさわしいヤツしかなれねぇ。
統率力、武力、義侠心。
能力カンストのハイスペほどボス向きだ。
見掛け倒しなヤツにゃ用はねぇ。
ケンカの強さですべてが決まる。
いざってとき、外敵を
とにかくボスである俺は縄張り内の仲間を守るため、平和維持に務めなきゃならん。
――ネコの集会だ。
なぜ、集会をひらくのかって?
ネコの集会をひらくのには理由がある。
定期的に集会で縄張りに住む猫たちを招集すりゃ、みんなの無事を確認できるからさ。
猫たちの安寧のために務めるのが俺の役目だ。安否確認は
ほかにも集会のメリットは様々あるけどよ、反面決まり事ってやつも多いんだ。
ネコの集会には、俺の仲間や子分たちも来る。
俺は去年、亡き先代から才能を見込まれて、この町のボスの座に君臨することになった。
このあたりじゃ猫同士が〝組〟を結成し、縄張りの警戒にあたっている。
組の名は、『ジロリ組』。
とにかく細かいことは抜きにして、集会に来たいヤツが集まりゃいい。
みんなで集まりゃ外敵だってめったに寄ってこねぇ。
だから猫たちは安心してのんびりできる。
みんなの顔見て、世間話して、猫同士の交流を深める。
友達づくりに恋愛相手募集。猫だってソロ活動だけじゃねぇからな。
義兄弟の
ネコの集会のあるところに、俺たち猫のドラマが生まれる。
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