第146話 仲間のピンチ②
文字数 978文字
紅のジャンピングボディプレスからの噛みつき攻撃を浴びて、行動の自由を奪われたインテリ。
足場となる金属板の上に強制的に押さえつけられた状態で、懸命に逃れようと手足を動かすが――
紅はインテリの体を押さえ込んだまま解放しようとはしない。
インテリは体を振り乱し、いっそう抵抗を強めた。
けれども力は紅のほうが上だ。
どうあがいても、振り払うことはできない。
ニヤニヤしながらトウが接近していく。
トウは威嚇するように手を掲げると、
インテリの顔にパンチを喰らわせようと片手を振り動かす。
拳が顔毛の表面をなぞって宙を滑った。
トウはインテリの背後へまわり込むと、勝ち誇った顔で相手を見下ろす。
俺は叫んだが、トウは怯みもしない。
俺のいる場所が離れていることもあって、警戒する必要性をあまり感じていないのだろう。
くり出される拳。
衝撃が何度も何度もインテリの背中や腰を打つ。
パンチの嵐に耐えきれず、インテリの口から苦しげな悲鳴があがった。
ようやく俺の声に反応して、トウは向き直った。
まるで自分が強いとアピールするかのように、胸を張ってみせる。
ほどなくすると、紅がインテリの体を離し、やや後ろへ下がっていく。
インテリは悔しげな表情を見せるも、反撃に乗り出せない。
スタミナを消耗し、足場に力なく横たわったまま荒い呼吸を刻んでいる。
紅の炎のようにギラついた眼差しがミミへと向けられる。
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