第148話 仲間のピンチ④
文字数 1,296文字
追跡されるヨウは、金属板から足場の狭いパイプへと移動中だが……
またたく間に、パイプの端へと追い詰められるヨウ。
落下すれば、そこに待ち受けるのはガラスの破片地獄だ。
紅は間合いを詰めて片手を振り上げた。
すばやく拳を振り下ろし、ヨウの顔面にパンチを喰らわせる。
痛烈な一撃を浴びて、ヨウの体がふらりと
俺の指示を聞いて、ヨウは即座に姿勢を低くした。
重心を下げて安定を保ち、なんとかその場に踏みとどまる。
礼を述べるヨウだったが、そんなゆとりはなかった。
側面から、さらなる危機が迫る!
再び紅が攻撃を仕掛ける。
紅は、ヨウの顔面を殴りつけた。
いましがた猫パンチを浴びせた右
身を切るような衝撃。
ヨウの長い毛が一部削がれ、ふわりと宙に散っていく。
遠目には見えにくいが、攻撃を受けた箇所から血が
俺は吐き捨てるが、心の底では無力感がこみ上げるばかりだ。
けれども手がマトモに動かせないんじゃ、ろくに歩けもしねぇ。
歯を食いしばって、前足にグッと力を込める。
だがヘタに手を動かすと、体を支えきれずに落ちてしまいそうだ。
それでも動かないわけにはいかねぇ……。
渾身の力をふり絞り、どうにか一歩を踏み出す。
認めたくはねぇが、紅の言うとおりだ。
インテリもミミも不意を突かれて窮地に立たされている。
ヨウなんか、まさに絶体絶命と形容するにふさわしい状況だ。
歩みの遅い俺が必死になって紅のもとへたどり着いても、そのときすでにヨウは地獄へ突き落とされているだろう――。
俺は闇雲に駆け出そうとした。
すると――
唐突に、下から声が響きわたる。
ハッとして顔を向ければ、廃工場の出入り口付近に見慣れた姿があった。
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