第28話 ゆしどうふ

文字数 417文字

「ゆし豆腐のそばも美味しいやろうね」
兄に話しかける

『いや、実は俺な、ゆし豆腐が苦手なんや』

健康志向の兄の答えに、意外な感じがした

「朧豆腐やで、熱々の出来立てなんかサイコー」

『出来立てなんて、余計に味がキツそうやん』
兄は嫌いな理由を続ける
『俺は酒が飲めないからな』

以前、ソーキそばにコーレーグースをかけすぎて困っていた

「それは調整して。フワフワで優しい味になるよ」

『確かに柔らかいけど、フワフワと言うよりトローって感じやろ』

「美味しいのを食べてないんよ。一緒に食べに行こ」

『いいよ。あのチーズみたいなやつをそばに入れるって訳わからん』
  
   

「ひょっとして、豆腐窯と間違ってない?」

『楊枝で少しづつ食べるチーズみたいなやつやろ

 え?豆腐窯って何?』

「豆腐窯は、お兄ちゃんが今、考えてるやつ」

『ゆし豆腐は?』

兄に写真を見せながら違いを説明した

朧豆腐みたいな感じやな! それなら食べて見たいわ』

嗚呼、ウチの兄も人の話を聞かない人だった
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