【審判の日6日前】会食

文字数 561文字

平林桜子と三澤隼人は、小学生時代に席が隣同士だった。

三澤は小学校3年生の初めに他の学校から転校してきて、2年間在学した後、小学校4年生の終わりに再び他の学校に転校した。

いつもからかわれて、いじめられている三澤を、学級委員だった桜子はよく庇ったものだった。

桜子は、算数と理科が苦手な女の子だった。

逆に、三澤は、テストの結果はほとんど0点だったが、算数と理科だけ、なぜかいつも満点だった。

三澤は、桜子によく算数と理科の問題の解き方を質問された。

三澤は、答え自体を教えることは出来たが、その過程の計算方法を上手く伝えられず、結局2人の間であまり良いコミュニケーションは図れなかった。

小学4年生の終わりに三澤が他の学校に転校した後、それから2人が顔を合わせることは30年間無かった。

そして今日、三澤と桜子は30年ぶりに再び会うことになった。

その日の夜19:00、三澤と桜子と梨奈は、新宿駅前デパートの最上階にあるイタリアンレストラン前で落ち合った。

三人はぎこちなく挨拶を交わした。

桜子は小学校時代の昔の話を熱心に三澤に語り、ほとんど機械的に聞かれた事だけを話す三澤、2人の会話を、梨奈はつまらなさそうに聞いていた。

「なんか、動きの固い変な人だったね。ロボットみたいな人。あたし、なんか疲れちゃった」

帰り道、梨奈は桜子にそう告げた。
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