【審判の日7日前】平林梨奈
文字数 987文字
「面接行きたくない・・・」
朝食の支度が済み、母娘で二人テーブルを向かい合って椅子に座りながら、平林桜子と娘の平林梨奈は朝食を取っていた。
すると梨奈は、母親の桜子に、おもむろに心の内を打ち明けた。
「ちょっとだけ勇気頑張って出してみて、今日のアルバイト面接行ってみたら?
ずっと家に居ても、それはそれで辛いよ?」
桜子は梨奈を諭す。
「どうせ、また面接で酷い事言われて落とされるだけだもん」
梨奈は元々真面目だが快活な子で、友人も多かった。しかし、高校卒業後に、社員50名ほどの中小企業に就職したものの、厳しい社会の壁にぶち当たって退職を余儀なくされてからは、ほぼずっと家で塞ぎ込んでいた。
梨奈自身も、このままではいけないと分かっていながら、うまく行動に移せない自分に苛立ちを感じていた。
「勇気を出してチャレンジしてみよ!
それよりママ、さっきすごい古いクラスメートにいきなり会っちゃった!」
桜子が嬉々として梨奈に話しかけた。
「へぇ」
「三澤隼人君っていってね、小学校のときの同級生でクラスメートだったの!隣に座っていた子!」
「ふーん、アラフォー男なんだ」
興味無さそうに梨奈が返事する。
「連絡先も交換しちゃった!
明日の夜、三澤君を誘って3人でレストランで食事しましょうよ!
貴女の気分転換にもなるわよ」
「再婚するの?
ママも懲りないね」
梨奈が呆れたように言った。
「そんなんじゃないわよ。単に懐かしくなっただけ!ささ、支度支度!」
桜子は梨奈をアルバイト面接先の、マンションから徒歩圏内にあるコンビニに送り出し、自身も今日からの新しい勤務先の大手病院、新宿第一病院に向かった。
※
桜子は、新宿第一病院の指定された人事部事務所に向かい、挨拶を済ますと、ロクに説明も受けないまま、現場の病院受付窓口に行くように言われた。
病院受付窓口に着くと、医療事務の年下の先輩から仕事の説明を極めて乱雑に受けた。
すると、突然、急患が運ばれてきた。
「何やってんの、平林さん!
急患よ!さっさと動いて!」
「は・・・はい!」
桜子は狼狽しながら医療事務の書類作成を開始した。
※
「さっき急患で運ばれて来た人、死亡が確認されたんだって、毒殺による他殺かもしれないんだって、怖いわねぇ・・・」
「誰かが殺したってこと?
物騒な街よね、新宿って、本当に・・・」
同僚の医療事務女性同士がそんな会話していた。
これが、新宿の街の現状なのだろうか。
朝食の支度が済み、母娘で二人テーブルを向かい合って椅子に座りながら、平林桜子と娘の平林梨奈は朝食を取っていた。
すると梨奈は、母親の桜子に、おもむろに心の内を打ち明けた。
「ちょっとだけ勇気頑張って出してみて、今日のアルバイト面接行ってみたら?
ずっと家に居ても、それはそれで辛いよ?」
桜子は梨奈を諭す。
「どうせ、また面接で酷い事言われて落とされるだけだもん」
梨奈は元々真面目だが快活な子で、友人も多かった。しかし、高校卒業後に、社員50名ほどの中小企業に就職したものの、厳しい社会の壁にぶち当たって退職を余儀なくされてからは、ほぼずっと家で塞ぎ込んでいた。
梨奈自身も、このままではいけないと分かっていながら、うまく行動に移せない自分に苛立ちを感じていた。
「勇気を出してチャレンジしてみよ!
それよりママ、さっきすごい古いクラスメートにいきなり会っちゃった!」
桜子が嬉々として梨奈に話しかけた。
「へぇ」
「三澤隼人君っていってね、小学校のときの同級生でクラスメートだったの!隣に座っていた子!」
「ふーん、アラフォー男なんだ」
興味無さそうに梨奈が返事する。
「連絡先も交換しちゃった!
明日の夜、三澤君を誘って3人でレストランで食事しましょうよ!
貴女の気分転換にもなるわよ」
「再婚するの?
ママも懲りないね」
梨奈が呆れたように言った。
「そんなんじゃないわよ。単に懐かしくなっただけ!ささ、支度支度!」
桜子は梨奈をアルバイト面接先の、マンションから徒歩圏内にあるコンビニに送り出し、自身も今日からの新しい勤務先の大手病院、新宿第一病院に向かった。
※
桜子は、新宿第一病院の指定された人事部事務所に向かい、挨拶を済ますと、ロクに説明も受けないまま、現場の病院受付窓口に行くように言われた。
病院受付窓口に着くと、医療事務の年下の先輩から仕事の説明を極めて乱雑に受けた。
すると、突然、急患が運ばれてきた。
「何やってんの、平林さん!
急患よ!さっさと動いて!」
「は・・・はい!」
桜子は狼狽しながら医療事務の書類作成を開始した。
※
「さっき急患で運ばれて来た人、死亡が確認されたんだって、毒殺による他殺かもしれないんだって、怖いわねぇ・・・」
「誰かが殺したってこと?
物騒な街よね、新宿って、本当に・・・」
同僚の医療事務女性同士がそんな会話していた。
これが、新宿の街の現状なのだろうか。