【審判の日】東京浄化計画

文字数 1,079文字

「無能人間なりによくやったわ、ナンバー3。今日この審判の日までに、なんとか必要な量の血をサタン様に捧げる事ができました」

五代恵子が指示すると、小田和成は、美津島雄也を撃った拳銃の銃口を平林梨奈のこめかみに付けた。

梨奈が恐怖に身体を震わせた。

「本当、卑しい上、無意味な暴力を振るう下衆な人間達。
何の役にも立たない無能な人間達。
ようやく少し片付いたわ。
しかし、本当、薄汚い彼らを相手にして、吐き気を抑えるのが大変でした」

五代恵子がフフッと笑って三澤を見た。

「SJプロジェクトでも、この世界にとって不要で穢らわしい人間、無能な人間、全て排除するよう、私たちは子供の頃から教え込まれ、そのように訓練されてきました。
そうですよね?ナンバー3」

五代恵子が三澤隼人に確認するように言った。三澤は立ち尽くしたまま微動だにしなかった。

「我らの理想の世界を築いて下さるのは、無能人間達が崇める神ではありません。
絶対神サタン様。
サタン様の教えこそが、我らの理想郷を実現する最高の恩恵。
そして今日、サタン様に、醜く腐った全ての人間達の血を捧げます。
そう、今日が審判の日」

梨奈が、恐怖を必死に押し殺して、五代恵子をキッと睨みつけた。

「最低な狂信者の発想よ!
あんたは何をするつもりなの?
あんたをあんなに慕っていた信者達を次々殺して、一体何がしたいの?」

五代恵子は、梨奈の顎を掴んで自分の顔に近づけた。

「東京浄化計画よ。
芝浦埠頭に、今まで私を慕ってくれた哀れな信者達が、VXガスの海上拡散装置を設置してくれたわ。
私たちは、今からヘリコプターで芝浦埠頭に向かう。
その海上拡散装置を使って、十字架戦士(クルセイダー)の澁谷誠一さんの化学工業コンサルティング事務所から奪ったVXガスを大量増幅させて、東京湾に流し、東京の人間達全てを死滅させる。
その汚らしい無能人間達から流れ出る血は、全てサタン様に捧げられる。
これが東京浄化計画。
どう?素晴らしい計画でしょう?」

五代恵子が恍惚とした笑みを浮かべた。

「あんたは、心が壊れているのよ!
ただの異常殺戮者よ!
普通じゃないわ!
まともな人間じゃない!
狂ってる!」

梨奈が必死に五代恵子を罵倒する。その光景を三澤は無表情に見ていた。

「フフ、何が異常で、何が普通か、何がまともで、何が狂っているのか、何も分からない、ただ若いことだけが取り柄のお嬢さん。
あなたも穢らわしい無能な人間の1人なのね。
今ここで、その愚かな心臓をサタン様に洗い流していただきましょう」

五代恵子が取り出したレイピアを梨奈の胸元にスッと突き付けた。

梨奈が恐怖を必死に振り払って、三澤の立っている方向を向いた。
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