第２４話　カテゴリ推定

「てことはやはり、そもそも鏡越しの自撮りを判別する識別器を作るところからやるってことか」
佐々木が僕に言う。
今我々は、瞳の中を超解像で拡大するものを作るにはどうしたらいいかを話ていて、そのためにはまず瞳と自分が映るものを集めたいと言う話をしていた。

「そう、ただここで一つ嬉しいお知らせがある」
僕が佐々木に向かって言う。

「嬉しいお知らせ！？」
高崎くんがその言葉を聞いて嬉しそうにこちらを見ている。

「嬉しいお知らせ？何だろう。そこまで手間をかけずにすむ裏技があるってことか？」
佐々木が僕に聞く。最悪の場合数万枚の画像を目で見て探さなきゃいけない。それを減らす方法がある。

「そう、誰か、そこのSNSのソースを見てみて！」
僕は佐々木の研究室のみんなに語りかけた。基本的にはみんなPCで仕事をしており、そのままその作業をすることができる。

「ソース？？」
高崎くんが僕に聞く。

「そう。webのアプリは右クリックでソース。つまり表示するためのプログラミングコードを読むことができるんだ」
僕が高崎くんに説明する。

「えー！そうなんですか！すごいですね」
高崎くんが言う。

「ソース開けました！」
佐々木研究室の一人が素早く作業して言った。こう言う素早さが知的な作業には必要とされている。

「画像のところ見てみて！正確に言うとaltタグ」
僕がその生徒に説明をする。altタグとは画像のことを説明するタグのことだ。これはもともと検索エンジンに何の画像なのかを教えるためのものだった。

「一人以上の人物・・・空、自動車」
研究室の彼はそう読み上げる。

「あ、わかった。それ自動で出ているのか」
佐々木が僕の話を理解して言う。普通は自分で入力するのだが、名前の付け方でピンと来たようだ。

「あ、そういうことなんですね。すでに機械学習で判別してあるんだ。」
その生徒も理解して言った。

「なるほどこれを使わせてもらえば確かに手間が減るな。賢い」
佐々木は僕に対して言った。

「え？え？どう言うことですか？」
高崎くんは聞く。

「うん、そもそもね。さっきのハッシュタグとかもそうなんだけど、自分でつけることができる。つまりうそをつくことができる。空のハッシュタグなのに自社の製品を載せたりして宣伝とかできてしまう」
僕が説明する。

「なるほどなるほど」
高崎くんが頷く。

「そこで自動識別で空と判定したもの以外は出にくくなるように工夫がされているんだ」
僕が言う。

「すごい！そんなことが！」
高崎くんが言う。

「そう、すでにいたるところにビッグデータによる機械学習による成果が溢れているんだ」
僕は言った。