第２５話　ＥＣショップとカテゴリ

「こういうような技術をカテゴリ推定と言うんだ」
僕は高崎くんに説明する。カテゴリ推定は機械学習が得意とするものの一つで、webサービスなどにもよく使われ始めているものだった。

「カテゴリ推定？？」
高崎くんは僕に聞く。一般的にはほぼ聞くことがない単語なので、一般人代表であるところの高崎くんには説明が必要だ。

「そう、カテゴリ推定。昔はECショップとかも自分でカテゴリを入れていたんだ。車とか家電とか」
僕が説明する。そうすることによってお客さんが自分の欲しいものを探しやすくすることができる。

「ふむふむ」
高崎くんが頷く。なんとなくイメージしているようだった。

「ECショップも歴史が長く、もう20年以上やっているところもある。と言うことは・・・」
僕が説明する。

「ビッグデータがある！」
高崎くんが僕の言葉の先を説明する。

「そう。そういうこと。今までのカテゴリをつけてきたたくさんの情報がある。それを逆に利用するんだ」
僕が説明する。答えを予測したいものと、そのものがセットで集まっている時に機械学習は大きな力を発揮する。

「今までは商品からカテゴリを入れていて、そのデータが溜まっているので、商品からカテゴリを自動で出すことができるということだな」
佐々木が言う。彼も教師データの重要性については深く理解している。

「そう、その通り、今のカテゴリ推定はすごいよ。フリマアプリでiphoneを誰か撮ってみて！」
僕がいう。すると佐々木研究室の生徒が素早く、フリマアプリを立ち上げ、隣の席の研究員のiphoneの写真を撮った。カシャリと言う音が聞こえる。

「すげぇ」
その生徒が言う。

「ね」
僕が言う。

「え？どうなった？」
佐々木が聞くと、その生徒がサッと佐々木の近くまできてそのiphoneを見せてくれた。

「すごいです。カテゴリが自動で携帯、iphoneになっているだけでなく、販売するべき値段も自動で出てます」
院生がそう説明する。今までの会話と結果からそのことを彼は推察していた。さすが日本で一番頭の良い大学の一番イケている研究室の学生だ。

「とんでもないな。このスピードで出てくるってことは画像の検索エンジンを自前で作っているってことだろう。SREやサーバエンジニアにも優秀な人がいないとできない。このアプリ日本のサービスでしょ、なかなかすごいね」
佐々木が言う。

「そうなんだよ。すごいよね」
僕が言う。

「すごいな、共同研究したい。今度会った時聞いてみよ」
佐々木が言う。佐々木はテレビに出たりしていて顔が広い。このアプリの会社の社長とも面識があるのだろう。

「という訳で、ハッシュタグと、このカテゴリ表示を使っていけば、だいぶ効率よく鏡越しの自撮りの写真を集めることができる」
僕は言った。