第62話 先読み
文字数 1,291文字
「なるほど!なるほど!わかってきたんだよ!」
ヒカルちゃんが僕たちの話を聞いて、理解したようだった。
IT系のエンジニア特有の技術だが、必要そうな話は聞いておいて、関係なさそうなときは集中してプログラミングすることができる。
「うん、ヒカルちゃんの出番でしょ」
僕が言う。そうまさにヒカルちゃんの出番と言える。大量の画像の扱いは彼女ならお手の物だ。いままでは顔を集めていたが、今回はすこし違うものを集めてもらえると嬉しい。
「うん、ディープラーニング的なものでちょちょいと人物の動きだけ取り出したいんだね??」
ヒカルちゃんは今までの話をざっくり整理していった。
そう、ちょちょいと取り出していただきたい。今まで取り出していた顔ではなく人物の連続した動き。つまり歩行の動画だ。
「そうそう。その後は大和くんが人の3Dモーションを抽出してくれるので判別してくれるはず」
僕がうなずく。そこまでやってくれれば、大和くんが歩様認証システムを動かしてくれるはずだった。この両方を一人でやると大仕事だが自分より得意な人がいる状況では任せられるので良い。
「わかりました。作っておきます」
大和くんがぼくらの話を聞いて頷いた。すでになにやらカタカタとタイピングしはじめている。ヒカルちゃんの抽出が終わった瞬間から動かせる状態にしているのだろう。
「え、そんな簡単にできるもんなんですか?」
高崎くんが不思議そうに言う。ヒカルちゃんも大和くんも簡単なことのようにいっていたからだ。高崎くんからするとすべて魔法のようにみえるようだ。
「いや、簡単ではないね」
ぼくは言った。そう、もちろん簡単ではない。日本にできる人は何人いるだろうか、というレベルのものだ。でも彼ら二人にとっては、まぁできるだろうね、というレベルのものだ、できるかどうか全くわからない、というレベルのものではない。
「はい、こんなこともあろうかと実験は済ませておりました」
大和くんが言う。そう、かれはすでに実験は済ませてあった。そういう準備の良い人なのだ。彼に具体的な指示はほとんど必要がない。
「さすが大和くんだ」
ぼくは言う。かなりの安定感を放つ研究者だった。
「えらい!やりますな!」
ヒカルちゃんが腕を組んでうんうん言っている。
「ヒカルちゃんに負けられないからね」
大和くんがヒカルちゃんに微笑みながら言った。
そう、理系はおとなしいイメージがあるかもしれないけど、成果を出しているひとはだいたい負けず嫌いだ。
「うんうん。いいね!」
ぼくは言う。こう言う状況が一番良いものが生まれる。
「というわけで、先を見越してこれを準備しておこう」
ぼくはそう言った。今の状況は、警察官の皆さんに正面の顔認識で調査してもらっている最中だが、次に起きる問題を先読みして僕らは仕事をするべきだ。
「おもしろそー!やるやる!」
ヒカルちゃんがぴょんぴょん飛び跳ねながら言った。
「さて、でもその前に」
ぼくは切り出した。
「今の顔認識の精度上げる仕事だね!」
ヒカルちゃんは僕のセリフを先読みしていた。
ヒカルちゃんが僕たちの話を聞いて、理解したようだった。
IT系のエンジニア特有の技術だが、必要そうな話は聞いておいて、関係なさそうなときは集中してプログラミングすることができる。
「うん、ヒカルちゃんの出番でしょ」
僕が言う。そうまさにヒカルちゃんの出番と言える。大量の画像の扱いは彼女ならお手の物だ。いままでは顔を集めていたが、今回はすこし違うものを集めてもらえると嬉しい。
「うん、ディープラーニング的なものでちょちょいと人物の動きだけ取り出したいんだね??」
ヒカルちゃんは今までの話をざっくり整理していった。
そう、ちょちょいと取り出していただきたい。今まで取り出していた顔ではなく人物の連続した動き。つまり歩行の動画だ。
「そうそう。その後は大和くんが人の3Dモーションを抽出してくれるので判別してくれるはず」
僕がうなずく。そこまでやってくれれば、大和くんが歩様認証システムを動かしてくれるはずだった。この両方を一人でやると大仕事だが自分より得意な人がいる状況では任せられるので良い。
「わかりました。作っておきます」
大和くんがぼくらの話を聞いて頷いた。すでになにやらカタカタとタイピングしはじめている。ヒカルちゃんの抽出が終わった瞬間から動かせる状態にしているのだろう。
「え、そんな簡単にできるもんなんですか?」
高崎くんが不思議そうに言う。ヒカルちゃんも大和くんも簡単なことのようにいっていたからだ。高崎くんからするとすべて魔法のようにみえるようだ。
「いや、簡単ではないね」
ぼくは言った。そう、もちろん簡単ではない。日本にできる人は何人いるだろうか、というレベルのものだ。でも彼ら二人にとっては、まぁできるだろうね、というレベルのものだ、できるかどうか全くわからない、というレベルのものではない。
「はい、こんなこともあろうかと実験は済ませておりました」
大和くんが言う。そう、かれはすでに実験は済ませてあった。そういう準備の良い人なのだ。彼に具体的な指示はほとんど必要がない。
「さすが大和くんだ」
ぼくは言う。かなりの安定感を放つ研究者だった。
「えらい!やりますな!」
ヒカルちゃんが腕を組んでうんうん言っている。
「ヒカルちゃんに負けられないからね」
大和くんがヒカルちゃんに微笑みながら言った。
そう、理系はおとなしいイメージがあるかもしれないけど、成果を出しているひとはだいたい負けず嫌いだ。
「うんうん。いいね!」
ぼくは言う。こう言う状況が一番良いものが生まれる。
「というわけで、先を見越してこれを準備しておこう」
ぼくはそう言った。今の状況は、警察官の皆さんに正面の顔認識で調査してもらっている最中だが、次に起きる問題を先読みして僕らは仕事をするべきだ。
「おもしろそー!やるやる!」
ヒカルちゃんがぴょんぴょん飛び跳ねながら言った。
「さて、でもその前に」
ぼくは切り出した。
「今の顔認識の精度上げる仕事だね!」
ヒカルちゃんは僕のセリフを先読みしていた。