第9話 美少女枠

文字数 1,219文字

「へー、これ彼女が組んだの?」
と僕が佐々木に訊ねる。

組んだの?
とはプログラミングを自分でやったのか?
という意味だ。

「そうだよ。」
「openCV使って?」
と当然だろ?といった雰囲気で答える佐々木にさらに僕が聞く。

「そうです!簡単な笑顔認識の簡単なフレームワークがあるんです」
と、きらりちゃんが答えた。
へえ、彼女が組んだのか、えらいな、と思った。
簡単なフレームワークというけど、誰でも使いこなせるというものではなかったはずだ。コンピュータの基礎知識は必要だったはず。

「オープンシーブイ??フレームワーク??」
と頭にたくさんはてなを浮かべている高崎くん。
まあ、そうなるよね。
ここは、高崎くんにはわからなくてもいいところなので話を変える。

「高崎くん、しかめっ面してみて、怒ってる感じで」
と僕はまだタブレットを見ている高崎くんに言った。

「え?しかめっつら?あ、はい。」
と、僕に言われたとおりに、高崎くんはしかめっ面になった。むぅー!!といった感じだった、これまたなかなか可愛かった。

すると、タブレットに写っていた、天使たちが帰って行き。当たりから光が消える。
「わーすごい!なんで、先生こうなるって、わかったんですか?」
「うん、ほんとは、悪魔が出てくるのかな?と思ったんだけどね。予想は80点というところかな」
と笑う。
僕ならそういうのも仕込むかな、と思って試してもらったのだ。
プログラマーならだいたいそういうのを入れてみると思う。内部的に使う機能もだいたい同じだろうと予測がつくからだ。

「さすが佐鳥先生!最初そちらも実装してたんですよ!!」
「ああ、やっぱり」
ときらりちゃんの説明に僕は微笑んだ。

「でも、今回はコンセプトがずれるので、外してあるんです!」
「ああ、なるほど、笑顔になってもらうのがメインってことか。佐々木の指導だね。さすがだ」
「コンセプトってなんですか??」
と高崎くんが聞く。

「はい、現代社会では、幸福度の向上が重要課題になるといわれています。そして、その幸福度は、笑顔の時間と相関関係が高いと言われています。なので、その幸福度を上げるために、笑顔の時間と、比例して、幸福度を可視化させるというコンセプトのプロジェクトです!」
「すごーい!」
と、さらさらと説明するきらりちゃんに素直な感心をしていた。

「ああ、これが、先生がおっしゃっていた。理系の人がコミュニケーションが得意な理由なんですね?」
と微笑む。

「そう。さすが!頭の回転が速いね!」
「いやぁ、それほどでもあります!」
と、高崎くんがえっへんと胸を張った。

「ああ、高崎さん、おもしろ系なの?」
と、僕らのやり取りを見て佐々木が笑った。

「いえ、美少女枠です!キリッ!」
と高崎くんは答えた。最大級の笑顔で。

「なるほど、やっぱり、おもしろ枠だ」
と佐々木が言って僕も頷いた。
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