第69話 おたよりコーナー
文字数 1,438文字
「男子さん女子さんこんまるまるわ」
はい、こんまるまるわー
「ぼくは中学時代 吹奏楽部にいました
そこは女子ばかりで 男子はぼくひとり」
あー
よくあるシチュエーションねー
「そのせいでしょうか
卒業からかなり経つのに
いまだに夢を見るのです
その夢というのが
吹奏楽部の女子たちと
一緒にお風呂に入るシチュエーションなのです」
あらあら
まあまあ
「音楽室のある芸術棟
その地下シェルターが何故かお風呂になっていて
女子たちが泡だらけになって
きゃっきゃっしているのです
そこへぼくが誘い込まれ
一緒にヌルヌルあわあわします」
シェルター?
「またあるときは
商店街の地下シェルター入り口が
なぜかお風呂場へとつながっていて
その先ではやはり女子たちが
そのまだ青い果実を惜しげもなくさらしているのです
そこへぼくは誘い込まれ
男子の大事な部分をあれこれされます」
シェルター??
「軌道エレベーターへと連絡する
高速移動車両がなぜかお風呂になっていて
女子たちとお風呂でいちゃいちゃしながら
眼下に広がる人工森林を
悲しい気持ちで眺めていたりします」
軌道エレベーター?
「衛星軌道上から
超磁力兵器によって
大地が引き裂かれ
ドロドロの灼熱地獄へとかわる
そんな地上を見下ろしながら
やはり女子たちとお風呂に入って
ムフフしていたりします」
超磁力兵器?
「他にもいろいろな状況で
ぼくは女子たちとお風呂に入っているのです
そんな夢を何度も何度も何度も見るので
なんだか
これが本当にあった記憶であるかのように
思い始めたのです」
はあ
「中学を卒業してから
もう12000年は経つのに
そんな夢ばかり見るのです」
12000年?
「あと
これは
すごく
いまさらなのですが
どうやったら
ぼくは
目覚めることができるのでしょう?」
む?
「身体さえ見つかれば
たぶん目が覚めると思うのです」
「あれだけたくさんあった朝日は
どこに消えたのでしょう?
一日の始まりを告げる鳥たちは
どこへ帰ったのでしょう?」
「本当は自分が脳だけになって
水槽に入れられている
そんな不安にもかられます」
「ぼくは何かのシステムの一部で
永遠に夢を見せられて
現実を忘れているのかもしれません」
「へんな話になってごめんなさい
ぼくはあなたがたの活躍を見るのが
毎日の楽しみです
これからも変わらず
ドタバタの日常を見せてくださいね」
なぜか新しい魔法覚えたよう
ちょっと世界を焼き払おうよう
時を忘れたはるか未来
永劫の森でかすかに呼吸する
古代の遺物がある
そこでは
在りし日の日常が
観客不在のまま
上演されている
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