一話ぐらいで完結する短いおはなしたち
前のエピソードへ「第128話 ある日、森の中」
文字数 1,558文字
語れ
いったい何を……
おーこわ
そうでした
タイトルですね
えーと
仮想世界の終末なんとか
きさまがエクセリオンのアバターなのはわかっている
なんせ
本人がそう言ってたからな
キミはネタばらしを望んでいる?
どうしてキミのことを
ぼくがわかるんだい?
おそらくこの仮想世界の外側を知っているからだ
侵入者の
ここはいま「彼女のいない世界」だ
それだけのこと
「一話ぐらいで完結するみじかいおはなし」を
いくつも演じてきたよね
じっさいぼくたちは
物語の登場人物だ
演者
いろいろな役を演じたともいえる
この宇宙船エクセリオンに搭載されている
そして
ぼくたちはいまそこにいる
おそらく
通称文化伝承館
文化伝承館は軍事拠点だよ
文化だの知識だのは飾りで
本当の目的は軍事技術の蓄積と保持
そこにここと同じ構成の108基の人工知能群がある
で
それになんの意味があるんだ
しかし
仮想世界はひとつ
つまり
リンクしているんだよ
通信システムとして考案された
通常のどんな手段を使っても
何千何万何億光年も離れていたら
それだけの時間がかかる
呑気に通信していたら
文明どころか
星そのものが消滅する
そんなのは承知の上で
ただ闇雲にエクセリオンを飛ばしているんじゃないのか?
108基の人工知能群に
「天文学的距離をへだてたもの同士の通信方法をかんがえてなんとかしろ」と
しかも
アホっぽい
どうにかできちゃったんだよ
人工知能すげえな
エクセリオンと文化伝承館を
同じ世界に配置した
意味がわからん
そんなイメージかな
具体的には
エクセリオンと文化伝承館に
まったく同一の観測者を一人存在させる
場所は二ヶ所なのに
観測者は一人なのか?
108基の人工知能群2セットが
完全に同一化することで
エクセリオンと文化伝承館とを
同時に観測できる
まず人間には理解不能で
ぶっちゃけ
科学なのか魔術なのかもわからない
それは本当の話なのか?
ここが仮想世界なのは間違いないが
もしかしたら
仮想世界のなかの仮想世界かもしれない
ぼくたちはそこに登場する
名もない「人々」だ
それがなぜか自我にめざめ
いまでは
こうやって自分たちが何者なのか
この世界はなんなのか
考えている
108基の人工知能群が作っていたんだろ?
エクセリオンでは観測機関に使われているあわれな人間の脳髄を慰めるため
文化伝承館では来館者に見せるショウとして
その話そのものも
この話ももしかしたら
「そーゆー物語だよーん」
かもしれない
けっきょく
何が本当なのかわからないのか
どんな物語にしても
登場人物たちが
自分たちの世界を物語だと気づいてしまったら
なんかさあ
おしまいだよね
「そーゆー物語でした!」
かもしれないけどな
仮にこれもまた
「いつものてきとーなおはなし」だとしてさ
ぼくたちより高次元の存在が
これを見ていたとしてもさ
その高次元の存在たちのいる世界も
★いいね!
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作品お気に入り
男役1
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108基の人工知能群が生み出す仮想世界で何億年も生きている
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女役2
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