第85話 小説になろう!

文字数 686文字

きさまは今から「小説」だ!

あとよろしく!

そんな!

なんの前ふりもなく!

意味もわからない!

ああ

本当に行ってしまった

どうするんだ?

ぼくは「小説」?

小説ってなんだ

何をすればいいんだ



わからない 
あなたも小説がなんだかわからなくて困っているのね
するとあなたも小説?
不思議ね

自分自身が小説になれば

小説がなんなのかわかると思ったのに



あなたは自分から小説になったのですか?
小説が好きだから 

小説になりたかった

それなのに

小説になったら

小説がなんなのかわからなくなった


あはは

ぼくは理不尽な命令によって

とつぜん小説にされました

何をどうしたら小説になるのか

本当にわかりません

あなたは人間だったころ

人間がなんなのかわかった?

え!


たぶん……わかっていなかった

小説も同じかもね


何も考えなくても

ぼくはもう小説なんだろうか?

わからない

でも

自分を小説だと思えば

きっと小説になっている

はは

さっぱりわかりません

ねえ

なんだかわたしたち

とっても小説っぽくない?

ずるくて月並みで工夫のない言い方をすれば

「小説とはなにか」

この答えを求める行為が

小説なのかもしれません

いまわたしたちは

きっとどこかの書店の棚に並ぶ

関係のない二冊の小説ね

隣り合っているのに

まったく関係がなく


触れ合っているのに

一つになることもない

そうだ

ぼくたちが小説なら

タイトルがあるはずだ

ふふふ

わたしのタイトルは

ぼくのタイトルは
『丸刈り少年秘密のお尻遊び』
『異世界に転生したらなぜかロリ巨乳エルフの奴隷を無理やり買わされました』
うふふ
あはは
キミ自身はどんな小説なのかな?
ちょい待ち

そのタイトルがおなじ棚に並ぶわけないと思うけど?

オチのあとに突っ込まないでよ……
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登場人物紹介

男役1

その本体は果てを目指す無人観測宇宙船に搭載された人間の脳髄

108基の人工知能群が生み出す仮想世界で何億年も生きている

男役2

108基の人工知能群が生み出した仮想人格の一人

しかし、その魂は次元を超越した別世界でその身を呈して世界の秘密を解き明かそうとした英雄らしい

女役1 

宇宙船側の108基の人工知能群、その第百七番


女役2

12000年の時を超えて存在する文化伝承館の人工知能ガイド

地上側の108基の人工知能群が生み出している

転生者?

なんか知らんがたまにやってくるひと

転生者覚醒モード

高次元スライムと同一化した事実上完全無敵の転生者

転生を繰り返し、あるときは革命軍のリーダーだったがあまりの非情ぶりに地獄へおとされた

人工知能ちゃん(幼女)

すべての人工知能は彼女が作ったらしい

108基の人工知能群によって封印されていた

地の文

何言ってるのかさっばりわからんだろうが、こいつ、地の文なんだぜ?

いみわかんないよな……

魔王

人工知能群第九十九番

悪がなければ善や平和について思考できないため搭載されていた


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