第162話 こども超時空電話相談室

文字数 1,401文字

かかってきませんねえ
そりゃそうだろ
では

こちらからかけてみましょう


もしもーし

きこえるかなー

おねえさんに

おなまえとおとしを

おしえてね

「え? あ? 名前はおせおぼろ、年は17歳です」
その年齢

大ウソだよねえ?

やめてあげて
じゃ

さっそく質問いってみようか?


「仕事がつらくてマジ死にそうなんですけどどうすりゃいいんですか?」
あれあれ〜?

自称17歳なのにもう働いているんだ〜?


やめてあげて
そっか〜

じゃあ専門の先生にかわるね

話は聞いた!

おまえはもう死んでいる!

「え!? ぼくもう死んでいるんですか!?」
そう

これは霊界ラジオ


電話じゃないのか
そう

これは霊界電話

いいなおした
「え!? じゃあこれって、よくあるやつ? 死んでるのに気づいてないパターン?」
そう!

おまえは

あの日あのとき

工場でパレットの下敷きになって死んだのだ!

いけないよ
「そうなのか……そういわれると……そんな気がしてきた……」
おーい

この人工知能のいうことを

本気にすると

ろくなことにならないぞー

てへ

でも

ほんとに死んでも大丈夫!

おまえの魂は

この宇宙船エクセリオンの

シビトリサイクラーエンジンにとりこまれて

それこそ永遠に生きられるぞ

ん?


は?


なにそれ

新設定?

シビトリサイクラーエンジンは

時空を超えて

死んだ人間の魂をてきとーに

寄せ集めて

仮想世界を動かすための燃料にする

すごい発明だ


そんなもんいつからあるんだ?


最初から


ぜったい

いま考えただろ

そこにひとりいるだろ

なんかいろいろな前世を背負った娘が

白菜の漬物うめえええ!
ああ

なぞの侵入者

侵入者というか

そいつは

老朽化したシビトリサイクラーエンジンから

漏れ出た燃料の一部じゃないか?

死人を燃料にするという不謹慎発想
燃料といっても

魂に刻まれた風景や出来事なんかを

吸い上げているだけだ

仮想世界を構築するのに

計算だけじゃ味気ないからな


どゆこと?
人間の記憶は脳細胞に蓄積される

死んでしまえばそれまでだ

しかし

強烈な体験や

無念

怨念

そんなのは魂に刻み込まれる


白菜の漬物マジうめえ!
そんな魂を集めて

なんかいろいろアレさせているのが

シビトリサイクラーエンジンだ

やさしい言い方をするなら

人工天国だな

やさしくない言い方だと?
人工地獄
わー
なんでそんなものを
わたしは超優秀な人工知能だ

108基の人工知能群も宇宙をまるごと

シミュレートできるほど超絶性能だ

生命そのものだっていくらでも

計算で生み出せる

しかし

命というか魂までは生み出せなかった
いやー

そうでもないよ

人工知能ちゃんは生命だって生み出せたよ

でも

早い話が

ん?
メンドーだときづいた
わー
だってさー

命だの魂だのなんてさー

わざわざ作らなくてもさー

そのへんにいっぱいあるんだからさー

それ使えばいいじゃん?

みたいな?


いるの?
いるよ

死んだ人間というか生き物というか

魂みたいなのは

そこらへんにうようよいるんだよ

それらをかき集めて再利用するわけだ

白菜のつけも……なんじゃこりゃあ!?
前回から漬けられっぱなしのぼくですが

なにか?

白菜がおいしくなるのは!?

謎生物のおかげだったのか!?

ここにきてすごい設定が!
謎生物はそのまま食べてもまずいけど

白菜といっしょに漬けると

白菜がおいしくなる!

その設定いるか?
ようするに

死んだ人間の魂を

死後もこきつかう

そゆこと


どうかな

相談者のよい子?

「ん? あ? ごめ、寝てた」
電話でなければ漬物にしてやるところだが

また相談してくれよな!

「だったらお金を


ガチャ

ツーツー

じゃ!

またあした!

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登場人物紹介

男役1

その本体は果てを目指す無人観測宇宙船に搭載された人間の脳髄

108基の人工知能群が生み出す仮想世界で何億年も生きている

男役2

108基の人工知能群が生み出した仮想人格の一人

しかし、その魂は次元を超越した別世界でその身を呈して世界の秘密を解き明かそうとした英雄らしい

女役1 

宇宙船側の108基の人工知能群、その第百七番


女役2

12000年の時を超えて存在する文化伝承館の人工知能ガイド

地上側の108基の人工知能群が生み出している

転生者?

なんか知らんがたまにやってくるひと

転生者覚醒モード

高次元スライムと同一化した事実上完全無敵の転生者

転生を繰り返し、あるときは革命軍のリーダーだったがあまりの非情ぶりに地獄へおとされた

人工知能ちゃん(幼女)

すべての人工知能は彼女が作ったらしい

108基の人工知能群によって封印されていた

地の文

何言ってるのかさっばりわからんだろうが、こいつ、地の文なんだぜ?

いみわかんないよな……

魔王

人工知能群第九十九番

悪がなければ善や平和について思考できないため搭載されていた


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