第150話 九六 秋の月の風情

文字数 232文字

 職の御曹司にいらっしゃいます頃、八月十日過ぎの月が明るい夜、中宮は右近の内侍に琵琶を弾かせ、端近くのところにおわします。女房たちは誰彼、物言いをしたり、笑ったりなどするのに、私は庇の柱に寄りかかって、ものも言わずさぶろうていると、(宮)「なんで、そんなに話もせずにいるのだ。なにか物言いをしたらどうなの。騒々しくしたら」と、仰せられるので、(清少)「ただ秋の月の情趣を見ているのでございます」と申し上げると、(宮)「それはもっともな物言いですね」と、仰せられる。
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