第144話 九四 くちおしきもの

文字数 339文字

五節、御仏名のとき、雪が降らないで、雨が土砂降りなった。節会などのとき、宮中で物忌みがあったとき。催し物が、早くこないかと待っている時、障りがあり、にわかに中止になること。遊びをしたり、見せたいものがあって、呼びにやったのに、来ない人。とてもくちおしい。
男も女も法師も、同じ宮仕えしている所から、同じような人が諸共に、寺に詣でたり、どこかへ行くときに、素晴らしい衣裳が車からこぼれ出ていて、用意が良すぎて華美になりすぎ、あまりに見苦しいとみる人もいるだろうに、しかるべき道理の分かった人に、馬や車で出会うこともなく、見てもらうこともなく終わったことは、非常に残念である。侘しく思い物好きな下衆の者などで噂話で語りついでくれぬかな、と思うのも、なんとも我ながら怪しからん話である。
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