第103話 五七 立派な邸宅での働く人々 

文字数 343文字

□立派な屋敷の中門をあけて、枇榔毛の車の白くきれいなのが、黒味を帯びた赤色である蘇おう色したの下簾を見せて、車の轅を置くための榻(しぢ)にうち掛けてあるのは、素晴らしい。
お供の五位、六位などの者が、下襲の裾を帯にはさんで、真っ白な笏(さく)の上に扇を置いたりして、あちこちに行き違い、また、正装をして、壺胡なぐいを背負った随身が、出入りしているのは、立派な邸宅にふさわしい。台所の女のこざっぱりしたのが顔を出し、「誰それ様のお供のひとはいらっしゃいますか」などと言うのも、情趣がある。※立派な邸宅での、車の状況や、お供の者が忙しそうに立ち働いている。随身も弓矢の壺を背負い、出入りするし。台所女がお供の人に声を掛けるなど、当時の屋敷での下働きの人々と行動が、想像できる。良い光景である。
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