第141話 八三8 帝も加わり

文字数 385文字

それにしても、その作った歌を披露しなさい。今はこうして説明したのであるから、同じことであり、貴女の勝ちなのです」と、中宮にも仰せられ、女房達もそういわれるけれど(清少)「どうして、そのような無情なことをお聞きしながら、申し上げられましょうか」など、まことに心からがっかりし情けなく憂えていると、帝もこちらへお渡りになって、(帝)「まことに、年ごろは中宮の思召しめしの女房なのだと思っていが、これではちょっと異様な感じである」などと、仰せられるので、いよいよ憂えつらくなり、泣き出してしまいたい心地がする。(清少)「ああ、しみじみと辛い世の中なんでしょう。後から降り積もった雪をああ嬉しやと思っておりましたのに、(宮)『それはつまらない。雪をかきすてなさい』と、仰せになったりして」と申し上げれば、(帝)「中宮がお前に勝たせまいと思ったのだろう」とて、帝もお笑いになった。
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