第49話 三二1 上達部が結縁の八講

文字数 517文字

□小白河という所は、小一条の大将殿の御家であるのだが、そこで上達部が、結縁の八講をしたまわれた。世の中の人は、たいそうめでたいことをされると思い、「遅く行った車などは立つべき所もない」と言うので、露とともに起きて行ったのだが、本当に、隙間もないくらいに車の轅の上にまた轅を重ねて、三つばかりまではすこしものも聞こえるほどである。六月十余日のこと、暑きこと世に知らぬほどなり、池の蓮を見やるときのみ、いと涼しいここちがする。左右の大臣たちを除いては、来られてない上達部はいない。二藍の指貫、直衣に、あさぎの裏を付けない下着を透かしていらっしゃる。すこし年配の方は、青鈍の指貫に、白き袴もなんとも涼しそうな様子である。
佐理の宰相などもすっかり若返った装いで、全体に、ありがたい法会の催しというだけでなく、趣向をこらした集会場のようで見物である。
※時の権力者のお家での、結縁の法華経八巻の催し、大勢の貴人が車で駆けつけ、それぞれ見事な衣装を着用し、出席している。厳かな中、当時は着る物にかなりのこだわりが、あったのでしょう。男どもも、意識して、衣装をきるのが常識だったのでしょう。当時の服装を詳しく調べて理解を深めることが必要でしょう。
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